DJI研究開発チームが目指す果てなき努力とその成果
2020年は、後世にいろいろ語られる年になるだろうが、まさにDJI Mavic Air 2の登場もその1エピソードとなるだろう。この価格帯にしてこの性能は驚くべきだ。
前回Mavic Air 2 開発者のインタビューに続き、今回はプロセスの裏側を紐解いていこう。
この記事では、驚くべき研究開発の道のりをご紹介する。中国語圏、北米DJIで紹介されている開発記事「Behind the Scenes of Mavic Air 2’s R&D Journey」を許諾の上妙訳でお送りする。
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Mavic Air 2のデザインについて
DJI研究開発チームによる数々の技術的ブレークスルーがMavic Air 2開発の道を切り開いた。例えば、重量制御と消費電力に関して最適化するために、一つ一つのモジュールを深く掘り下げた。また、機体の最適なバッテリー寿命と操縦性を決定するために、逐次エンジニアリングを実施した。
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初期の外観デザインさえ決定していない段階で、研究開発チームは最大飛行時間と各モジュールの目標重量を計算し、その後の研究開発を非常に効率的に行った。目標を重量設定することにより、その後の研究開発作業が非常に効率的になり、エンジニアは創造性と想像力を発揮できる余地が増えたことは言うまでもない。
Mavic Air 2の初期3Dモデリング
Mavic Air 2を設計するにあたり、開発チームは、初代Mavic Airのアームフォールディングには多くの改善余地があることを発見した。そこでチームは、重要部分のサイズ、形状、折りたたみ動作の最適化に着手した。もしMavic Air 2が以前のデザインを継承していれば、同じ体積と重量でバッテリーの寿命を延ばすことは困難だったといえる。
そこで開発チームは、Mavic Airのオリジナルモデルのデザインを捨て、Mavic Proのデザインを採用することで、Mavic Air 2を1から全く新しいものとして開発した。
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Mavic Air 2の構造設計では、一般的なドローン機能はもちろんのこと、飛行振動や柔軟なボディ制御に関する要求を満たす必要がある。開発チームは、強力なシミュレーションプラットフォームとこれまでの経験で培った関連技術の知識をもとに、綿密な計算と実験により構造を隅々まで最適化し、最高の飛行安定性と制御体験を提供し、高品質な空撮を実現する機体開発に漕ぎ着ける事ができた。
Mavic Air 2のハードウェアとソフトウェアのテスト
研究開発の過程で最大の課題となったのがジンバルだ。ジンバル技術には豊富な経験があるにもかかわらず、新しいドローンのモデルを開発する際には常に膨大な課題と直面する事になる。
Mavic Air 2のジンバルはカメラセンサーを採用しているため、消費電力が高い。これは、ハードウェアエンジニアだけでなく、放熱を担当する構造エンジニアにとっても大きな課題だった。放熱を担当するエンジニア、ハードウェアを担当するエンジニア、構造を担当するエンジニアは、HDRビデオ機能で撮影したHD映像が熱ノイズによる画質低下を防ぐために、ジンバル上にヒートシンクを慎重に設計した。
Mavic Air 2は、性能・体積・重量の最適なバランスを実現するため、コア基板にSIP(System-in-package)プロセスを採用している。
3Dプリント試験機の第一陣
最初のプロトタイプが発表された後、R&Dチームは、シニアのプロダクトマネージャーからドローン初心者まで、さまざまなユーザーグループに製品を試してもらい、フィードバックをもらった。ここで集めた多くの意見は、Mavic Air 2のデザイン、リモートコントローラー、フライトコントロール体験、画質などを最終的に決定する上で非常に重要なものであった。Mavic Air 2が過酷な環境下でも安定して飛行可能の検証用に、屋内アイスリンクで低温状態をシミュレートするために長時間かかってテスト飛行することもあったという。
Mavic Air 2の躍進と挑戦
ドローンでの空撮は、ユーザーのために高品質コンテンツを簡単に撮影可能にする必要があるが、Mavic Air 2はまさにそれを実現している。DJI Flyアプリでワンタップするだけで、見事な8Kハイパーラプスを撮影することが可能だ。
Quad Bayerアルゴリズムに加え、開発チームがMavic Air 2の飛躍的な技術的飛躍を可能した。チームは、ソフトウェアとハードウェアの限界を何度も越え、ストレージスペースのボトルネックを解決し、チップの制限に対処して、より少ない量でより多くのことを行うことを繰り返した。最初から最後まで、彼らは絶対的なベストのMavic Air 2を開発するために、たゆまぬ努力を続けた。
幅広いユーザーの行動や撮影の好みをテストしてフィードバックを得るなど、1年以上の研究とテストを経て、DJI初のインテリジェントな撮影アルゴリズムであるSmartPhotoが開発された。
MA2 SmartPhotoの比較
SmartPhotoは、航空機、ジンバル姿勢、ダイナミックレンジ推定、シーン認識に関連する複数の情報ポイントとアルゴリズムを統合し、複雑な画像のインテリジェントな処理を行う。SmartPhotoは、おそらくどの新機能よりも、空撮の傑作を簡単に手の届くところに身近にした。
Mavic Air 2 FocusTrack
開発チームは、インテリジェントな認識とトラッキングに関連するアルゴリズムを研究し、Mavic Air 2のためのより直感的でスマートなFocusTrack機能を開発した。画像特徴アルゴリズムと機械学習を創造的に組み合わせ、一般的な動きのある被写体(人、車、船など)、固定された風景、建物の認識を取り入れ、認識の精度と効率を大幅に向上させた。同時に、よりスムーズな追従性を実現するために、高度な3Dマッピングと軌道計画アルゴリズムがソフトウェアに追加された。
数分の電池寿命の向上であっても、各分野の技術者がそれぞれの責任範囲内でモジュールの重量を極限までコントロールする必要がある。開発の初期段階では、バッテリー寿命と操縦性について厳密なシーケンシャルエンジニアリングを行い、可能な限りのバッテリー寿命を算出した。研究開発の過程では、ドローンの実際の特性と理論値とのギャップをテストするために、シミュレーションと実証実験を何度も繰り返した。
Mavic Air 2は、GPS、IMU、気圧計、コンパス、視覚センサーなど複数のセンサーを搭載し、多次元の環境情報を出力可能だ。これらのデータは、最先端のフュージョンアルゴリズムによって統合されており、様々なシナリオでの安全な飛行を保証している。
まとめ
Mavicシリーズの最新のアウトプット、Mavic Air 2は再び革新的でパワフルな特性を継承している。2年間の開発により、Mavic Air 2は、最もスマートで驚くべきドローンの1つといえる。Mavic Air 2が謳う“Up Your Game“”に則り、私たちは、ただただ驚くだけの製品を世界に提供することを最終目標に、研究開発、デザイン、製造、サプライチェーンなどの改善にたゆまぬ努力を重ねてきた結晶といえる。