ドローンパイロットエージェンシー株式会社(以下:DPA)と狩猟罠開発・販売をメインとする株式会社アポロ販売(以下:アポロ)は、猪などの鳥獣対策に向けて知見と技術を持ち寄り、取り組むための業務提携を行った。
- Advertisement -
農水省の統計では、猪や鹿といった鳥獣による作物への被害は増えており、平成30年度で農作物への被害額は156億円と試算されている。長期間育ててきた作物が根こそぎ食べられ、農家の方々のモチベーションを奪い農業を辞める「離農」へと繋がっているという。
赤外線カメラで捉えた猪
- Advertisement -
また、猪がもたらすのは農作物の被害だけではなく、昨年26年ぶりに日本で確認された「豚コレラ」(現在は「豚熱」と改名)の感染源が猪と言われている。豚コレラは養豚場の豚が殺処分対象となり、業者にとっては大打撃となる。通常の豚コレラにはワクチンが効くが、今世界で流行しているのはワクチンがない「アフリカ豚コレラ」で、アフリカ豚コレラに豚が感染したら全頭殺処分するしか術がない。発生国では野生の猪で感染が拡大しているため、国内でも猪を介して大感染する可能性があるという。
DPAの持つドローンや画像分析の技術と、アポロの罠を専門に猟友会や農家の方々とのやり取りで長年蓄積してきたノウハウを掛け合わせることで技術的に革新し、猪などの狩猟が効果的に対策できるとしている。従来、ドローンだけでは鳥獣の駆除や捕捉は困難だったが、実際に罠を仕掛けるアポロと共に猟友会へ鳥獣の位置を提供することで、狩猟の補完ツールとして技術を活用するジビエテックが実現可能になる。
今治市伯方島でアポロと地元猟友会と共に実証実験を行い、短い実験期間の中で猪の姿を捉えることに成功
狩猟時に捉えた猪の姿
- Advertisement -
同業務提携には、獣医学者の吉川泰弘博士と鯉渕幸生東京大学准教授が加わり、樹木の種類や生態的痕跡などによるバイオロギングを活用し、より的確に鳥獣対策ができる仕組みを構築するという。さらに獣医学部による検疫により、狩猟した鳥獣を安全なジビエとして流通することも視野に入れ、狩猟側の副次的収入や地方創生につながる名産品の創出に繋げていくとしている。