NTTドコモの最新技術を一同に見られる注目の展示会
NTTドコモは、2020年春に商用サービスを開始する5GやAI、IoTなどの最新技術を活用したさまざまなサービス・ソリューションの技術展「DOCOMO Open House 2020」を2020年1月23日から1月24日まで東京ビッグサイトで開催した。
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同技術展は2009年に神奈川県の同社研究開発拠点を会場にスタートし、毎年開催されている。年々規模が大きくなり、近年は東京ビッグサイトの展示会場を使って技術やビジネスソリューションなどを一同に披露する大型展示会となっている。
特に今年は、2020年春に開始する5Gのサービス体験の展示で盛り上がっていた。展示会場の中から、特に目についたドローン関連の活用をピックアップして紹介しよう。
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NTTドコモのプライベートイベントだが、東京ビッグサイトの青海展示棟AホールとBホールをすべて使って行われていた
通信エリア品質調査ソリューションに飛行艇ドローンを採用
まずは、飛行艇型ドローンの展示だ。NTTドコモは、グアム島に常設5G技術検証環境「ドコモ5Gオープンラボ GUAM」を開設しており、ドローンに測定機をつけて5Gの通信品質を図る実証実験を実施。その実証実験で使用した飛行艇型採用のドローンが展示されていた。
河川や湖、海など安全な水上での発着が可能な飛行艇型ドローン
ドコモは、近海、沿海でも通信エリアを持ち、定期的に通信エリア品質調査を行っている。同品質調査は船で行っているが、チャーターしたり人手も必要、海が荒れていたりすると調査ができないという問題を抱えている。そこで、飛行艇型ドローンを使ってエリア品質調査ソリューションの実証実験を実施。飛行艇型を採用することで、離陸から着水まで滑走路が必要なく、雨が降っても強い上に、約2時間の飛行が可能とのことだ。
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胴体は船っぽい形状になっている
飛行艇型ドローンにより、高い飛行性能を実現している
浮き上がる映像を実現する浮遊球体ドローンディスプレイ
飛行準備から取得データの解析に至るまでワンストップのサービスを提供するdocomo sky。そのサービスの紹介が行われていた
NTTドコモでは、ドローンを活用したビジネスを支援する「docomo sky」と呼ばれるドローンプラットフォームを提供しているが、そのコーナーで同社ドローンサービス紹介が行われていた。
同コーナーの中で、もっとも目を引いたのは浮遊球体ドローンディスプレイだ。発光するディスプレイを飛行させることができ、スクリーンは、他のディスプレイ、音楽と連動が可能。最近では、2019年9月に行われたB.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム、茨城ロボッツ開幕戦の演出に使われたという。
ドローンの機体はパートナーと一緒に実現したドコモオリジナルで、フライトコントローラーのコアの部分に関しては、海外のオープンソースのものを使っているとのことだ。
ドローンに球形の映像を表示するための残像ディスプレイを搭載
飛行するためのドローン部は、NTTドコモオリジナルの機体を使っている
非GPS環境下での自律飛行を実現するSkydio社のドローンを展示
上下に6つの魚眼レンズを搭載し、周辺の状況を確認できるようになっている
NTTドコモは2020年1月22日、北米ドローンメーカーSkydio社との協業に向けた合意を発表。そのSkydio社の実際のドローンが、さっそく会場に展示されていた。
ドローンは、基本的にGPSに依存して飛行する。しかし、Skydio社のドローンの凄いところは、GPSに依存せずに自律飛行技術や障害物回避技術を搭載しているところだ。筐体の上限に200°の魚眼レンズを3つ搭載しており、周囲を認識できるようになっている。室内もGPSが入らないので手動で飛ばないといけないが、そういったところも安全に飛ばすことができる。
追尾機能も特長で、筐体のカメラで人を撮影すると操作しているタブレット上にアイコンが出てきて、希望するアイコンをタップするとその人をずっと追いかけてくれる。例えば画面に2人いたら、別々の人として認識するようになっている。片方の人を選択すれば指定した人を追いかけるし、もう一人を選択すればそちらの人を追いかける。それぞれを別の人と認識できる。また、自動車関係も追うことも可能とのことだ。
NTTドコモでは、Skydio社のドローンをプラント設備や基地局橋のインフラの点検など産業利用を考えているという。
AIによる自律飛行技術や、障害物回避技術を開発しているSkydio社のドローン
ドローン飛行時の衝突回避における解析イメージ
ドローンを活用した通信鉄塔の点検作業を支援するサービス
会場に基地局の模型が立っていて、実際にドローンを飛ばして作業の様子を見られるようになっていた
ドローンを使った鉄塔点検の高効率化のデモも行われていた。鉄塔点検は、40mから50mある基地局の鉄塔を人がははしごを使って一番上まで登って点検が行われている。NTTドコモでは、ドローンを使って通信鉄塔の外観をすべて写真を撮ってパソコンのほうで確認をして点検をする鉄塔点検の効率化を図る実証実験を行ったという。
ブースに基地局の模型が立っており、その様子のデモが行われていた。
導入実証の様子。基地局をドローンで撮影し、基地局の破損、サビなどの状況を確認する
デモでは、ドローンが基地局に沿ってどんどん上昇し、等間隔で1秒から2秒ごとに写真を撮っていく。3面同じように上下で撮っていくことにより、全方位的に写真を撮影することができる。
以前までは、写真を撮影したスタッフが事務所に戻って目視でサビがある、ないというのを確認していたが、最新の基地局点検システムではAIが導入されており、サビのところがサーモグラフィーの形式で「このへんはサビが強い」「このへんはサビが弱い」などの目視で確認になる。その結果から補修に当てるなどの、判断が容易になるという。