今後ドローン技術が活躍するであろうフィールドで注目されているのが、映画の撮影現場である。実際、現在ドローン産業の中でも映画や動画サービスは最も魅力的な事業であると言っても過言ではなく、撮影現場でもドローンを使用することでパノラマ映像を撮影するために膨大な予算をかけてヘリコプターの手配をしなくても済むようになってきた。ドローン導入により映画、テレビ番組や観光客向けプロモーションビデオなどの撮影を、映像の質を下げることなく効率化することが可能になった。
- Advertisement -
2012年、Roger Deakins監督が映画「007 スカイフォール」でドローン技術を導入した。その後、ジェームズ・ボンドは今年再び映画「007 スペクター」でその技術と共に戻ってくる。この作品内で政府のスパイ目的でのドローン利用を非難する描写があるように、これらの技術はもはや軍事目的などではなく、この映画自体でも「創作」を目的に使用されており、私たちにもっと身近なものになっている。一部のドローン好きには、このようにドローンがもっと私たちのことも楽しませることができるという認識の変化によってネガティブなイメージが薄れていくのはうれしいものであろう。
同じように、日本では2013年よりスター・チャンネルにて放送をしているアメリカのテレビドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」でも最新シーズンではドローンを用いた撮影を行っている。この作品はファンタジー小説が原作となっており、ドラゴンの背中に乗り戦うシーンや覆面テロリストたちの決闘といった動きの激しいシーンで視聴者へ臨場感を味わわせる映像づくりにドローンが大きな役割を果たしている。このように、既に数えきれないほどの映像プロダクションの撮影現場でドローン技術を使うのが当たり前になってきている。ここ最近ではハリウッドもテレビドラマの撮影手法に倣うことが多くなり、そうするとこの数年で、特にサスペンスものなどのアクションに伴うカメラの動きが必要となってくる作品へのUAV撮影の導入の急激な増加がみられると予測できる。
- Advertisement -
ドローンそのものについて描いた作品も存在する。Chad Kapper氏による「Rotor DR1」(原題)は、Kapper氏本人の息子が演じる16歳少年が、ドローンが資源のために壊され利用される未来の滅亡寸前の世界を放浪する中で主人公はあるクアッドコプターに出会う、というストーリーを描いた作品だ。ドローンそのものが題材となる映像作品はYouTubeチャンネルが企画したクラウドファンディングキャンペーンがきっかけとなり始めて世に出された。Kapper氏はそこで「何を題材にした映像が観たいか」という質問を投げかけ、それに反応を示したドローン好きのユーザーたちの意見をもとに、ストーリーが生まれた。
つまり、ドローンは今やスクリーンの外での裏方としての役割だけでなく、被写体としても活躍している。昨今のこのような技術の発達と応用のスピードは誰もが目を見張るほどだろう。あとは、制作者の腕次第、どう使いこなして作品を生み出すかというところだ。
ドローン撮影に興味を持った方は、2016年にイギリスで開催されるドローンを用いた作品が出展される映画祭、Dronefestに作品を応募してみてはいかがだろうか。Dronfestは2016年1月27日、ロンドンのBusiness Design Centreにて開催される。参加の登録は、
こちらで可能だ。