Drone Tokyo 2019 Racing & Conference カンファレンスが、東京モーターショーのシンポジウムとして、11月1日(金)に東京ビッグサイト会議棟にて開催された。テーマは「ドローン前提社会を目指して」。14名の豪華登壇者が次々と、官民そしてアカデミアの立場からドローン産業の最前線を語った。その一部をレポートして行こう。
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カンファレンスでは、官民から様々な登壇者が登壇し、ドローン前提社会についての理解を深める場を目指すという。登壇者は次の通り。
- 衆議院議員 今枝宗一郎氏
- Drone Fund創業者/代表パートナー 千葉功太郎氏
- 内閣官房小型無人機等対策推進室参事官 長﨑敏志氏
- 総務省移動通信課・課長 総務省移動通信課・課長 荻原直彦氏
- 株式会社A.L.I.Technologies 代表取締役社長 片野大輔氏
- 株式会社自律制御システム研究所 取締役最高執行責任者/COO鷲谷聡之氏
- 株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク 代表取締役社長 柴田巧氏
- KDDI株式会社 経営戦略本部 次世代基盤整備室 グループリーダー 博野雅文氏
- 名古屋鉄道株式会社 取締役常務執行役員経営戦略部長 矢野裕氏
- 株式会社プロドローン 代表取締役社長 河野雅一氏
- NEC PSネットワーク事業推進本部マネージャー/ロボットエバンジェリスト 西沢俊広氏
- 株式会社日立製作所 ディフェンスビジネスユニットドローン事業開発センタ部長代理 横山敦史氏
- 慶應義塾大学 ドローン社会共創コンソーシアム 副代表 南 政樹氏
- TMI総合法律事務所 弁護士 新谷美保子氏
Drone Tokyo 2019 Racing & Conference カンファレンス「ドローン前提社会を目指して」、最初の登壇者は衆議院議員 今枝宗一郎氏。日本は、2022年にレベル4(有人地帯における補助者なしでの目視外飛行)、2023年には空飛ぶクルマの事業開始を目指すと政府が公言している、世界でもトップレベルの国だと説明。
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また、「モーターレースによって技術開発とレギュレーション整備が進んだ」と自動車の歴史を振り返り、「空の世界も同様であり、レースとカンファレンスが同時開催される同日はその1歩目だ」と評した。
Drone Fund創業者 千葉功太郎氏は、レーススーツ姿で登場して会場を沸かせた。レースを知るため、国内A級ライセンス取得に挑んだことを明かした。飛行機のライセンスにもチャレンジしていることで有名な同氏はこう語り、課題先進国ニッポンを激励した。
1週間のうち空で過ごしている。渋滞もないし、今の所道路もない。風はあるけどほぼ定刻で到着できる。空の移動は必然だ。まず、『やってみよう』の精神が大切だ。
内閣官房小型無人機等対策推進室参事官 長﨑敏志氏
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実証実験を行うと、落ちたらどうするんだと言われる。得体の知らない巨大なものが頭上を飛んでいるという怖さを感じないくらい、制度として安心できる状態を作らなければならない
と話すのは、内閣官房 小型無人機等対策推進室 長﨑敏志氏だ。さらに話は現状の課題へと掘り下げられる。
株式会社A.L.I.Technologies 代表取締役社長 片野 大輔氏、Drone Fund創業者 / 代表パートナー 千葉 功太郎氏、株式会社自律制御システム研究所 取締役 最高執行責任者 / COO鷲谷 聡之氏、慶應義塾大学 ドローン社会共創コンソーシアム 副代表 南 政樹氏
続く「課題を明確にするためのセッション」に登壇した自律制御システム研究所 鷲谷聡之氏は、「今の技術でできること、これからの技術でできることの、切り分けができて来た」と、ドローン産業の現状を評価。
官民協議会で示されたロードマップから「逆算」した動き方をすることが大事だ、とビジネスサイド視点での意見があった一方で、慶應義塾大学 ドローン社会共創コンソーシアム南政樹氏からは、「ロードマップはあるが方針が担保されたに過ぎず具体的にはこれから。僕らがやらなければ」とリアルな課題意識も飛び出した。
Drone Tokyo 2019 Racing & Conferenceで、特に注目を浴びたのは5Gの存在だ。カンファレンス翌日に行われたドローンレース決勝戦では、プロドローン社製のドローンがレースの様子を空撮し、KDDIが提供した5Gで4K映像がリアルタイム配信された。
KDDI株式会社 経営戦略本部 次世代基盤整備室 グループリーダー 博野雅文氏
カンファレンスに登壇したKDDI 博野雅文氏は、「4G/5G+ドローン=スマートドローン」と定義し、すでにいくつか商用化の見込みが立っていると言及。例えば点検ソリューションでは、自社保有の鉄塔をドローン自律飛行でモデリングし、ボルトの緩みまで確認できた。電力鉄塔への適用も可能だという。
株式会社プロドローン 代表取締役社長 河野雅一氏
KDDIの長距離物流実証にも機体を提供しているというプロドローンの河野雅一氏は、ドローン配送スタイルを3タイプに区分して分かりやすく説明した。
同社は、2020年春から、三重県志摩市と名古屋県蒲郡市および静岡県御前崎市の2ルートで長距離物流を開始予定。河野氏は、
2年かけて徹底的にデータを取得する
と話し、物流プラットフォームの提供に積極姿勢だ。
このほかNEC西沢俊広氏は、NEDOが10月29日に行い29事業者が参加した福島ロボットフィールドにおける実証実験の様子を動画で紹介。「1平方km内に最大37機という高密度で、互いに衝突を回避して飛行できた。これは世界初では」と話す。名古屋鉄道 矢野裕氏は「線路の上空はドローンの専用ルートになり得る」とモビリティへの参画に意欲を見せた。