DJIは、同社初となる地上走行ロボット「RoboMaster S1」を2019年6月12日に発売した。希望小売価格は税込64,800円。専用コントローラー、予備のゲル弾、バッテリーとゲル弾マガジンといった追加アクセサリーが同梱される「Playmoreキット」は今後発売予定。
- Advertisement -
新たに日米でも展開されるRoboMaster
RoboMaster S1のS1は「Step 1」の省略で、AI/エンジニアリング/ロボット工学に初めて触れる人でも簡単に操作できるようにというコンセプトのもと設計された地上走行ロボット。初心者でも使いやすいように、シンプルな操作性、専用のRoboMasterアプリ、分かりやすい操作メニュー、豊富なチュートリアルを搭載している。また同時に、AIやエンジニアリング、ロボット工学の経験を積んだユーザーも楽しめる高度な機能も備えているという。
31個のセンサーで周囲全体をマッピングし、その内6個はインテリジェント ボディアーマーで相手の攻撃を検知する。耐久性に優れたフレームの上には、安定したライブ映像をRoboMasterアプリに送信するFPV(一人称視点)カメラを搭載。また、メカニカルジンバルには、安全性を確保するために、角度を自動で制限できるブラスターが搭載され、赤外線や無毒性のゲル弾を発射可能。
さらに、RoboMaster S1はDJIの部品で構成されたモジュール式で、6つのPWM(パルス幅変調)制御ポートも装備されており、上級者はサードパーティ製のハードウェアを使用することもできるとしている。
- Advertisement -
FPVカメラとマシンビジョン技術により、RoboMaster S1は様々な物体を自動識別したり、音を認識したりして反応することができ、また対戦相手のユニットからの信号を受信することも可能。強力なCPUユニットと工業用グレードのCAN-BUSケーブルで、大量のデータを処理し、複数のタスクを実行しながらも安定的な信号伝送を維持する。カスタム仕様のブラシレスモーターに加えて、4つのメカナムホイールを搭載し、それぞれの車輪で12個のローラーが動作することにより、全方向への移動と精密な制御を両立している。
最先端のマシンビジョン技術を搭載したRoboMaster S1で、ユーザーは現実世界と連動したハンズオン体験を味わえる。下記6つの機能で様々な物を認識可能。
(以下、プレスリリースより引用)
- ラインフォロー:RoboMasterアプリで、ラインフォローのプログラムを組むと、線に沿って自動で走行します。
- ビジョンマーカー認識:数字、文字、および特殊文字を含む最大44個のビジョンマーカーを認識することができるため、コーディングとバトル、走行機能の可能性を広げることができます。
- フォローモード:RoboMasterアプリを使用し、画面内で選択した人物を識別して追尾させることも可能です。
- 拍手認識:拍手認識モジュールが内蔵され、拍手の回数に基づく独自の反応動作をプログラムすることができます。
- ジェスチャー認識:DJIドローンの一部に搭載されているジェスチャー機能に対応し、手の動きにあわせたプログラムの実行が可能です。
- ロボット認識:対戦相手の本体を認識し、プログラムに基づいて、独自の動作を実行することができます。より高度な機能の実行には、Scratch 3.0やPython上でのコーディングを通じて、RoboMaster S1用に独自の機能をプログラミングすることができ、効率性の改善や、4つのメカナムホイールのトルクの最適化を図れます。
プログラミングをコードの作成に留めるのではなく、RoboMaster S1を現実世界で実際に実行し動作させ、体験と学習を反復させることで、発想力を育み、想像力を高められるように、RoboMasterアプリ上には多様な学びの機能を搭載。独自にプログラムしたアクションを発動できる「カスタムスキル」では、後方からの攻撃に反撃する動作を実行させることにより、対戦相手に対し優位に立つことが可能に。
「マスターへの道」では、回避、全方向移動などの特定の課題に対して独自の動作プログラムを組み上げる体験ができる。「ロボアカデミー」では、ロボット工学とコーディングを詳しく紹介するビデオチュートリアルと、プログラミングガイドが収録されている。「ロボアカデミー」や「マスターへの道」は継続して更新され、今後新しいコースが追加される予定。
- Advertisement -
拡がるRoboMasterの世界
DJIが開催する国際ロボット大会RoboMasterからこの製品は誕生した。RoboMasterは、自らロボットを組み上げ、チームを編成し戦うというe-Sportsだ。まさにロボット達が戦うまさにサバゲー的要素満載と言える。そのRoboMasterで活躍する地上走行ロボットから着想を得て、「RoboMaster S1」は開発された。
競技性はそのままに、楽しく学ぶを実現する複数のモードを搭載。単独で使用するソロモードでは、ビジョンマーカーをスキャンして遊べる、ターゲット演習とターゲットレースの2種類を用意。また、複数プレイヤーで同時に遊べるバトルモードには、レースと対戦モードがある。
レースモードでは、番号が表示されたビジョンマーカーを正しい順序でスキャンし、すべてを最も速くスキャンしたプレイヤーが勝ちとなる。対戦モードでは、ゲル弾または赤外線ビームを使用して対戦相手と戦う。さらに、ゲーム性をより高めるために、複数プレイヤー用のバトルモードには、プレイヤーが対戦相手に対して発動できるめまい、電磁妨害、超速、無敵といった4つのミステリーボーナスがある。ロボットで戦ういわばサバゲーみたいなものだ。
DJIは、2013年からRoboMasterロボット大会の主催を通じて、ロボット工学教育の分野に投資してきた。今回のRoboMaster S1の発表は、ロボット工学の教育分野への第一歩となり、様々な教育コースや教材、イベントやハードウェアを通じて、この分野をサポートしていくとしている。
なお、2019年8月に、中国・深圳で開催されるRoboMaster 2019ファイナルでは、第一回RoboMaster S1チャレンジというイベントも同時開催予定。
DJI創設者兼CEOのフランク・ワン氏は次のようにコメントしている。
DJIの原動力は、技術の限界を突破し続けるエンジニア達の情熱です。そして情熱と同じように早期から技術を学び、取り組める機会も重要です。RoboMaster S1は、次世代のイノベーターの育成を念頭に開発され、ロボット工学とプログラミングを気軽に体験できるだけでなく、娯楽性と学術性を同時に味わうことができます。