昨年末赤外線カメラの製造を専門とするFLIRが2億ドルでUAV開発企業Aeryon Labsを買収し、以前公表された最高出資額1億3400万ドルの記録を塗り替えた。
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2018年はドローン産業にとって大変な時期ではあったが、今回の一件は今後、安定の期間やより大規模な投資、さらに研究開発の大幅な進展が見込まれることの兆しの一つだ。出資額を実際に見てみると、2018年はドローン産業にとって苦難の年であったことはそう容易くは見抜けないだろう。さて、2019年はどのような年になるのだろうか?提携先であるDRONEIIの発表から紐解いてみよう。
記録の塗り替え、パートナーシップの締結、アクセラレーターによる優れたベンチャーへの支援などが記憶に新しい。2018年、ドローン産業への出資額は総額7億200万ドル(2017年は6億2500万ドル)に上り、その内4億8300万ドルはドローン関連企業トップ20社への出資で占められている。我らが日本も2社ランクインしている。投資額が全てではないがそれだけ期待されていると言える。一社は、2018年ドローン銘柄で日本初上場した ASCL社、そしてもう一社はセンシンロボティクス社となる。トップ5社への出資を見れば、ドローン産業全体のトレンドが自ずと判明するだろう。
1.Joby Aviation(1億ドル) eVTOL機にフォーカス
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2018年初頭、Joby AviationはJet BlueやIntel、トヨタといった大企業から総額1億ドルの出資を受けたことを発表した。秘密主義で知られる同企業は、カリフォルニアで空飛ぶタクシーの試作機を開発しているようだ。
2.PrecisionHawk(7500万ドル)
Joby Aviationの発表の数日前に、PrecisionHawkは7500万ドルの出資をThird Pointのベンチャー企業支援部門から紹介された投資家グループから受けたことを明かした。これによって、2010年に設立された同企業の資金は1億ドルを突破し、業界内で既にリーダー企業として活躍しているPrecisionHawkにとって、力強い後押しとなった。
3.Skydio(4200万ドル)オートメーション化
3位はドローン業界内で最もイノベイティブな新参企業Skydioだ。「世界で最も先進的な自動飛行カメラ」の開発を目指している。Googleの元エンジニアによって設立された同企業は、シリーズBラウンドで4200万ドルの出資金を調達し、現在資金は7000万ドルに達している。
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4.Airobotics(3000万ドル)BVLOSの認証を受けたことが自信に
イスラエルのプラットフォーム開発企業Airoboticsはドローン市場内で注目を浴び続けており、新たな出資ラウンドにて3000万ドルの出資を受けている。さらにAiroboticsにとっては、2018年にFAAから目視外飛行(BVLOS)認証を受けたことも良いニュースだ。ただし、世界で初めて無人で完全自律型ドローンを飛ばす許可を得た実績があるので、そこまで驚くようなことでもないかもしれない。
5.DroneDeploy(2500万ドル)
サンフランシスコに本拠を構えるソフトウェア開発企業DroneDeployが、マッピングや測量分野でリーダー企業として活躍し始めてすでに何年かが経っている。2018年、シリーズCラウンドにてInvenergy Future Fundから2500万ドルの出資を受けた。以前の資金額3100万ドルは2倍近くにまで成長し、データプラットフォームを新たに保険などの分野で拡張したほか、製品ポートフォリオの拡大に成功した。
ドローン産業のこれから
2008年から去年までで、ドローン産業に対する出資額は累計3兆1630億という大台に達している。ではこれから何が起きるのか。2019年には何が待ち受けているのか。様々な出資関係の取引やその1年単位の頻度を観察すると、プロダクト系クラウドファンディングをはじめとする早期段階のファンディングは牽引力を失いつつあり、投資家がベンチャーキャピタルを通して成熟期の企業に出資する傾向がより強くなっている。
この傾向はドローン市場の成熟化を反映している。投資家がこれまで以上に多額の出資をテクノロジーに対して行っていくこと、そしてドローンへの出資が必ずしもハイリスクな行為ではないことが分かる。
2019年もこの傾向は続き、成熟期の企業がより多額の出資を受け、業界内のリーダーに成長していくだろう。