SXSW Sony主催WOW Studioでドローン関連セクション
2019年3月8日から3月17日までの期間中、アメリカ・オースティンで開催されたSXSW2019。SXSWは、テキサス州オースティンで開催されるイベントである。「Interactive」「Film」「Music」と3つのカテゴリーを中心に1000を超えるセッションや展示会から構成されている。最新のテクノロジーや事業、アイデアを体験できるSXSW INTERACIVE(インタラクティブ)では、セッションや展示などが多く紹介された。SXSWでドローンを扱うのは4年前をピークにその数は減少していたが、今年は、FlyingCarやエンターテイメントの部分でセッションが用意されていた。
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中でも例年通りソニーは巨大な倉庫を貸切ったWOW Studioと名付けられたブースで、「テクノロジー×クリエイティビティ」をテーマに、トークセッションやプレゼンテーションと体験型展示を組み合わせたプログラムを実施。
最終日、ベンチャー企業を支援するSony Innovation Fundの事業を紹介するキーノートに、エンターテインメント・ドローン業界のトップを走るVerity Studiosのファウンダー・CEOであるRafaello D’Andrea氏が登壇した。
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キーノートの前半では、革新的な物流システムAmazon Roboticsの開発者でもある彼のエンジニアとしての開発の歴史を紹介。キャッチボールをするドローンや、あやとりのようにドローンがロープを組み上げる様子、またプログラム制御により何百個ものブロックを積み上げてタワーを建てるインスタレーションなど、過去10年以上に渡る様々なアイディアや技術の映像とともに解説した。
印象的だったのは、技術者として「99%と99.9%の違いはとても大きい」と語っていたこと。ドローンをビジネスとする上で、安全性はもっとも重要な要素。1%以下の精度を追求する姿勢に、エンジニアとしての誇りと魂を感じた。
ドローンを使ったエンターテインメント事業を展開するVerity Studiosが設立されたのは2014年。約20カ国から優秀なエンジニアとデザイナーが集結した多国籍なクリエイター集団だ。
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ショーに使うLEDを搭載したマイクロドローンは、センサーやアクチュエータなどのハードウェアからプログラミングまで、すべて独自開発をしている。特に、非GPS環境である屋内で正確に編隊飛行するためのシステムは素晴らしく、圧倒的な技術力を見せつけている。
彼らの代表作シルク・ドゥ・ソレイユは一見の価値がある。ランプシェードを取り付けた色とりどりのドローンがふわふわと演者のまわりを踊る姿を見ていると、まるで生きているかのような錯覚を覚えるのだ。Verityが開発する制御アルゴリズムを彼は「魔法」と表現していたが、まるで命を吹き込まれたかのように飛びまわるドローンの姿に思わず感動してしまう。
シルク・ドゥ・ソレイユ
近年では、ドレイクやメタリカなどの世界的アーティストのライブや、ブロードウェイなどでもパフォーマンスを行い、2,000回以上のショーと100,000回以上の飛行実績を重ねているそうだ。本キーノートでも、実際にドローンを飛行させるデモを披露してくれた。LEDを搭載した無数のマイクロドローンがD’Andrea氏のまわりを螺旋を描きながら飛びまわるパフォーマンスに、観客はみな目を奪われた。
講演の最後に改めて強調していたのは、安全性と信頼性。2015年のスキーW杯で起きたドローン落下事故を例に挙げ、安全性を追求することがいかに重要かを改めて説いた。Verity Studiosでは観客の頭上をドローンが飛行するパフォーマンスも度々行っている。4つのうちの2つのモーターが故障しても安全に着陸できる冗長性を備えたドローンを開発し、現場でのテストを徹底的に重ね、ショーに臨んでいるという。
講演終了後、幸運にもD’Andrea氏、Verityチームのメンバーと話しをすることができた。技術的な質問にも親切に答えてくれて、彼らがいかに自分たちのテクノロジーとパフォーマンスに自信を持っているかを感じ取ることができた。世界中で開催されるショーのために飛びまわる彼らは「まるでサーカスだよ」と冗談を言っていたが、その楽しそうな笑顔がとても印象的だった。Verity Studioが繰り広げる魔法のドローンの世界に、これからも期待したい。
“What are next frontiers for creative entertainment?In partnership with Sony Innovation Fund.”
キーノート