南フロリダ大学開催の最先端コンペティションが、脳と機械の間の橋渡しをしようとしている。2019年2月9日にユングリングセンターで開催予定の南フロリダ大学(USF)ブレイン・ドローンレースには、世界中のチームが参加し、ブレインパワーを駆使してレースを行う。
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USFコンピュータ科学・エンジニア学科、神経と機械のインタラクションを研究するゼミの教官であるMarvin Andujar助教授
USF大学助教授であり、コンピュータ科学・エンジニア学科担当のMarvin Andujar氏が本イベントを企画した。Andujar氏は、2016年にこのコンペティションを創始した学内チームのリーダーだった。同氏によれば、2019年のイベントは世界初のインターナショナルなブレイン・ドローンレースになるとのことで、英国や日本、ブラジル、同大学の学内、そして米国中から様々なチームが集まるという。
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Andujar氏は次のように話す。
最初にレースを開催してから、これだけたくさんの人にこの分野に興味を持ってもらうことができて嬉しい限りです。私共にとって、レースは若い人や学生たち、それ以外の人々にこのテクノロジーに興味を持ってもらうための足がかりであり、これから神経科学の研究がより発展していくことを願います
Marvin Andujar助教授のゼミ生で、博士課程のSarah Garcia女史が脳波でドローンを操作している様子。身に付けているのは脳波記録(EEG)デバイスで、脳波を感知し、それをドローンに信号として送ることで飛ばすことができる。
脳波でドローンを操作するなんてまるでSFのように思えるかもしれないが、単に神経科学とコンピュータ科学を組み合わせるだけで実現できる。ベースとなる技術は、brain-computer interfaces(BCI)と呼ばれるインターフェースに関連する大きな学問分野の一部だ。この用語は1970年代に初めて使用された。BCIとは脳と、ドローンやコンピュータ、義肢といった外部デバイスを繋ぐ役割を果たすデバイスのことだ。
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BCIテクノロジーは脳の電気信号を記録し、利用する。人が何かを考えたり、筋肉を動かしたりすると、脳のニューロンがお互いに電気信号を送信する。技術の発展とEEGシステムの発達によって、科学者たちはそれらの電気信号を検知し、読み取ることができるようになった。読み取ることで、電気信号をコマンドに変換し、外部デバイスに送信することが可能となる。
ブレイン・ドローンレーシングにこの技術を応用する際には、研究者が特定の脳波パターンとドローンの動きをリンクさせる。EEGを身に付けたパイロットからある脳波パターンが検出されることで、ドローンも動く仕組みだ。
一つの動作を頭の中で想像すると、実際に筋肉を使ってそれを行っているかのように脳が電気信号を生み出します。ドローンレーシングでは、物体を前に押すイメージをパイロットの頭の中でしてもらいます。その後電気信号をキャッチし、分類し、データを受け取ったら動くようにあらかじめ設定しておいたドローンに情報を送信します。
このブレイン・ドローンレーシングはBCIの革新的ポテンシャルの一部を表してはいるが、実はこの技術には人生を変えてしまうような応用方法が他に存在する。ここ何十年か、医療分野でのBCI開発が行われてきている。患者の義肢操作に使えるほか、視覚障害を負った患者が視力を一部取り戻した例もある。神経細胞を破壊し、身体障害が発症する神経変性疾患の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に苦しむ患者にとっても有用で、コミュニケーションやモビリティアシストとして活用できる。
Andujar助教授とその研究チームにとって、こういった研究の発展はモチベーションになり、医療やその他の分野でこのテクノロジーを応用するための、ユニークで新しいアプローチを探求する原動力となっている。
コンピュータ科学の観点からいえば、システムの活用方法は無限にあります。イメージするだけで扉を開いたり閉めたりすることのできるスマートホームに応用したり、脳の活動をベースに環境を自分好みに整えたりといったこともできますね。生物学及び神経科学とテクノロジーを結びつけることで何が可能になるかを考えると、すごいことが次々に浮かんできます
2019年度USFブレイン・ドローンレースはユングリングセンターにて2月9日開催予定だ。