開催時期、構成内容も一新されたCEBITでのドローン市場は?
世界最大級のIT系国際見本市として知られるCeBITが運営コンセプトを一新し、B2Bから「デジタルイノベーションの祭典」へと若い世代を対象にしたオープンな雰囲気にあふれる展示会へと大きく変貌した。コンセプト変更にあわせてロゴ表記もCEBITに変更。会場は同じドイツのハノーバーメッセだが、開催日程が3月から現地ではベストシーズンとされる6月に変更され、オープンエアの展示が大幅に増えた。
- Advertisement -
展示パートは「d!tec」「d!conomy」「d!talk」「d!campus」の大きく4つに分けられ、広大なメッセ会場全体の約半分にあたる11〜27ホールで、それぞれカテゴリー別に展示が行われた。ドローンはd!tecの一つとしてVR(表記はXR)やロボティクスと併せてホール26で展示が行われていた。
- Advertisement -
ドローン単体で展示を行う企業は残念ながらそれほど多くなかったが、その分ゆったりとしたブーススペースになっており、ホール奥にはドローンレースコーナーが設けられ、競技会やデモフライトなどが連日行われていた。
ドイツでは昨年7月から新しいドローン規制が設けられ、250g以上の機体や居住区での飛行などが厳しく制限されている。2kg以上の機体を操作する場合は免許も必要で、そうした情報を共有するための組織BVCPがブースを出展。最新技術の紹介もあわせて展示を行っていた。
ZEGO
- Advertisement -
ホール全体で目立ったのは飛ばして遊ぶトイドローンだ。小型軽量で落としたりぶつけたりしても問題なく、価格も手ごろなタイプが人気を集めていて、展示しているのは主に深センのZEGOなどおなじみのメーカーであった。
Groupner
中でも人気を集めていたのが、ドイツのGroupnerが開発するドローンボールこと「Sweeper Kit」だ。ッカーボールの型をしたフレームの中にクワッド式ドローンが収まっていて飛び回るというユニークなデザインで、ぶつかっても落としても安全なうえにドローンサッカーまで楽しめるという。
フレームにはLEDも付いていて、イベントのデコレーションやライブで一緒に踊ったりもできると紹介されていた。価格は349ユーロで日本にも配送してくれる。
このようにビジネス向けドローンはホール26ではあまり展示されておらず、たとえば、DJIも出展していたがMAVIC AIRなど小型のものばかりで、単体展示にはあまり力を入れていないのがよくわかる。
SPHERIE
360度の空撮動画を撮影できるオリジナルドローン「SPHERIE」もVRコーナーの中に展示されていた。というのもドローンは非売品で、VRコンテンツを開発するBIVROST社と提携し、撮影スタッフも含めた総合ソリューションとしてビジネスを展開しているからだ。単体でのレンタルも今のところは対応する予定は無く、対象も完全に企業のみに絞り込んでいる。主な用途としては、観光地の案内や会社施設、複雑な工場内の撮影などがあるとし、日本からの依頼もあるということであった。
FLONE
ホール26以外でもドローンの展示はいくつかあり、その一つ「FLONE」はスマホでコントロールできるドローンを手造りできるキットを配布し、誰でも手軽に安くドローンを飛ばせるようにしようというプロジェクトで、スタートアップビジネスが集まるホール25でバルセロナのアーティストであるロト・アモロス氏らによって立ち上げられたこの社会プロジェクトは、オープンソースプラットホームを通じて進化を続け、Androidアプリのソースも公開されている。キットは誰でもダウンロードでき、そこからビジネスを始めるのも推奨している。
Intel
CEBITではいろいろなドローン展示があった中で、やはり一番目立っていたのはIntelのブースだろう。「Inter Falcon 8+」などとあわせて、2人乗りのパッセンジャードローン(有人飛行ドローン)の「VOLOCOPTER」を出展。機体の開発を手掛けているのがドイツのパッセンジャードローンのスタートアップであるe-volo社であることもあり、注目を集めていた。また、Intelは会期時間が10〜23時に延長されたのにあわせて、ドローンを使った光のショーShooting Starも実施していた。
総括
今年のCEBIT展示から推し量られることは、ドローンはもはや単体での開発というよりもソリューションの一つとして扱われているということだ。機能が高度化するにつれて、モビリティやロボティクス、IoTのジャンルに含まれるようになり、それらの分野でも高い技術力を持つドイツでは特にその傾向が強まるのではないかと予想される。
来年のCEBITではドローンというコーナーが無くなる可能性はあるが、ビジネスでの存在感はさらに強まるかもしれない。ドイツではもう一つのパッセンジャードローンのスタートアップであるLiliumも注目されており、自動車に次ぐ新しいジャンルとして確立される可能性もあるからだ。