Image credit: NASA/JPL-Caltech
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NASAは現在2台の火星探査車、オポチュニティとキュリオシティを持つが、惑星探査への新たなアプローチとして次に送り出そうと計画しているのは、なんとヘリコプターだ。NASAは5月11日、重さ約1.8キログラム、ソフトボールほどの大きさの機体で回転時のブレードの直径約1メートルの小型ヘリコプターをマーズ2020ミッションに加えることを発表した。2020年1月に打ち上げ、翌2月に火星に到着を予定する。
この計画自体も、そしてあらゆる新たな火星探査手段に道が拓かれる可能性が秘められているという点でも非常に楽しみです。
他の惑星を動き回って探査できるだけでなく、物事の手段に多くの価値を与えることができるのです。
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NASA本部で太陽系探査プログラム幹部を務めるDavid Lavery氏はヘリコプター探査機を、電子レンジほどの大きさで1997年に火星で活躍したNASAの第一号火星探査車、ソジャーナになぞらえた。
ヘリコプターは探査ローバーの下部に取り付けられて火星へ向かい、着陸後、火星表面に降ろされる。探査ローバーはそこから約45~90メートル先まで走るが、この距離であれば無線連絡を保ちながら不運な事故の危険を避けられる。
1ヶ月で5回の短距離フライトが行われる予定で、初回は約3メートル上空で30秒間ホバリングすることを目指す。それ以降のフライトはより野心的で、最大90秒間のホバリングで数百メートルの浮上を目指す計画だ。ヘリコプターには2台のカメラが取り付けられ、1台は火星表面、もう1台は上空の方向を撮影する。ヘリコプターは各フライト間にソーラーパネルで充電される。
火星上での飛行は決して容易ではない。火星表面の大気は非常に希薄で、地球で使われているヘリコプターの限界を優に超えた、地球の約3万メートル上空に相当する。加えて重力も弱く、あてにできない。そのため2組の回転ブレードはそれぞれ逆方向に、1秒間で50回転もする。試験飛行は火星の大気条件を再現したNASAジェット推進研究所の実験室で行われた。
火星で実際に実験ができると思えるような結果を出せる段階まで来ることができました。
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Lavery氏は語る。この5500万ドルを掛けたプロジェクトは、火星の岩石に残された古代の生命の痕跡を求めるマーズ2020の主要ミッションには含まれない。
実際にヘリコプターにどんなことができるか見られるなんて興味深いでしょうね。
同ミッションのプロジェクト研究者、Kenneth Farley氏はヘリコプターについてこう語った。火星上で1ヶ月間の実験が終了後、ヘリコプターはその場に残され、探査ローバーのみ移動する。 将来のミッションでは、偵察機としてヘリコプターが探査ローバーの操縦やサンプルを持ち帰るうえでも一役買うようになる可能性がある。
さらにこの「マーズ・コプター」はNASAが練ってきた案だけにはとどまらない。NASAニュー・フロンティア・コンペティションには、ロボティック・ドローンを木星の最大の衛星、タイタンへ送ろうという案も寄せられている。ドローンは炭化水素の海を含む衛星の様々な地形上で詳細な探査を実現できる。来年このミッションが最終案に選ばれれば、早くて2025年に打ち上げの可能性もある。
NASAは次回の探査ローバーミッション、マーズ2020で回転翼航空機を火星へ送り出す計画だ。アニメーションには火星の地形上での飛行や画像記録の様子が描かれている。