不動産王Stephen Rossは、スポーツの分野ではアメリカン・フットボールチーム「Miami Dolphins」のオーナーとして有名だ。そんな彼が、次に手を出したのがFPVドローンレースだ。
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Ross氏がMatt Higginsと共同で設立したベンチャーキャピタル「RSE Ventures」は、今年中に最初の一般向けレースを企画しているニューヨーク発のスタートアップ「Drone Racing League」のファーストラウンドに、100万ドルの出資を行った。Drone Racing Leagueはスポンサーやメディア、そしてチケットの売上からお金を得る予定だ。
ローラーゲームやアリーナフットボールを始めとする観客を楽しませるスポーツは、今までいくつもが派手なデビューを果たし、メインストリームへの仲間入りを果たそうと努力してきた。しかし、初期の話題性が収まると、こうしたスポーツへの興味は次第に失われていった。これに対し、Drone Racing Leagueは新たな観客層をターゲットとしている。ビデオゲームの愛好家やテクノロジーに精通している人達だ。最近Madison Square Gardenで大規模な集客に成功した中継ビデオゲーム大会の成功を再現しようと考えている。
2年前にドローンの一般販売が開始されてから、愛好家達はドローンを使ったレースの実験を重ねてきた。近頃はスピードが増し価格も下がってきたため、レースはより現実的となってきた。
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愛好家らは主に「250 クラス」ドローンと呼ばれる、300~500ドルの価格帯で時速110 キロまで出せるタイプのドローンを用いてレースを行っており、Drone Racing Leagueでも似たドローンが使われる。こうしたマシンは動きも素早く、Drone Racing Leagueが計画している古い工場やその他の室内空間でも十分走行が可能であるという。
数ヶ月前に同Leagueは廃屋となっているニューヨーク州ヨンカーズのGlenwood Power Plantにてトライアルレースを行った。六人のパイロット達は発電所の床に立ち、廊下や窓の間をかいくぐるように巧みな操作を披露した。
レースには通常5~7人の参加者がいる。参加者はバーチャルリアリティを演出するゴーグルを身につけ、まるでドローンのコクピットに座っているかのような映像コンテンツを見ながら操作を行う。
Drone Racing Leagueの創設者Nick Horbaczewskiは
まるで飛んでいるかのような、圧倒的な没入感を体感できる
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と説明する。
Ross氏はこの分野の先駆者としては意外に思われるかもしれない。75歳の不動産王は、ニューヨークのTime Warner CenterやHudson Yards、そしてロサンゼルス、アブダビ、ラスベガス、シカゴ等における複合プロジェクトで有名である。しかし、彼はスポーツへの情熱も持ち合わせている。2008年からアメリカン・フットボールチームMiami Dolphinsへの投資を開始し、今日ではフランチャイズの95%とSun Lifeスタジアムを保有している。
2012年にはRoss氏はMatt Higginsと共にRoss Sports and Entertainmentの頭文字をとった「RSE Ventures」を創業した。
スポーツ、エンタテインメント、そしてテクノロジーにおけるダイナミックな体験や新しい機会を作り上げるプラットフォームを作るチャンスだと感じた
とRoss氏は説明している。
RSEは毎年全世界の強豪チームを招いて開催させるサッカー大会「International Champions Cup」の運営や、スポーツイベントにおいて活用されるモバイル技術「FanVision Puck」の開発も行っている。Higgins氏によれば90を超えるアーリーステージの企業に向けた投資も行っている。
Horbaczewski氏は全世界で開催されている障害物レース「Tough Mudder」の最高売上責任者を経てDrone Racing Leagueを創業した。
レーシングの伝統を引き継ぎながらも新しいテクノロジーの恩恵も受けているため、(ドローンレースは)人々に受け入れられると感じた。
と同氏は説明するが、こうしたレースを開催しているのはDrone Racing Leagueだけではない。今夏、U.S. National Drone Racing Championshipsという2日間に渡る大会がカリフォルニア州サクラメントのスポーツ施設Bonney Fieldにて行われた。同大会には120名以上のパイロットが参加したが、レースディレクターのScot Refsland氏は、このスポーツがファンを増やすためにはまだ修正が必要だと考えている。
集客は満足とは程遠かったね。猛暑が観客を寄せ付けなかった原因の一つだと考えている。ハエのような機械がサッカー場を飛び回っているのを一日中見るのはエキサイティングでは無い。
と振り返りながら今後の課題を語った。パイロットがバーチャルリアリティゴーグルを通して見ている映像を観客も見ることが出来るようにすればより魅力的になると考えている。Higgins氏は、今回のDrone Racing LeagueへのRSEの投資がリスクを伴うものであることは認識している。
まずは、これがスポーツになるポテンシャルを持っているということを世界に認めてもらわなければいけない。
と説明する。我々DRONE編集部もまったく同意である。エクスストリームスポーツのようにプレイヤーだけではなく、観る側も楽しめるものであった欲しい。規模は異なるが、近年注目を集めるRedBull主催のAir Raceのような盛り上がりを見せればFPVドローンレースも大きく飛躍のではないだろうか?引き続きFPVドローンレースには注目していきたい