かねてよりリーク写真やウワサが絶えなかったDJIの小型高性能セルフィードローン「SPARK」が先日ついに発表になった。手のひらでコントロールするインターフェイスや、クリエイティブな空撮動画撮影が簡単に実現できるクイックショット機能など、小型ながら最新の機能を盛り込んで来るDJIらしいセルフィードローンだ。今回編集部ではいち早くレビュー用機体を手に入れることができたので、さっそくレポートしたい。ドローン関連のメディアでは、最初の詳細レビューになるのではないだろうか?それでは早速見て行こう。
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まずは140mmの高性能ドローンSPARKの機体をチェック
まずは基本性能をおさらいしよう。小型化しても妥協がないのは今までのDJI製品と同じ。
■機体/カメラ
離陸重量 | 300g |
寸法 | 143mm×143mm×55mm |
最大飛行時間 | 16分(20k/hの一定速度で無風時) |
動画解像度 | FHD:1920×1080/30p |
最大ビデオビットレート | 24Mbps |
最大静止画サイズ | 3968×2976 |
■Wi-Fi
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動作周波数 | 2.4GHz |
最大伝送距離 | 100m(距離) 50m(高度) (障害物、干渉がない場合) |
さて、今回アシスタントをしてくれる「ドローン女子」の髙橋早矢歌(たかはしさやか)ちゃんといっしょに機体をチェックしていく。発泡材のケースを開けるとプロペラが折りたたまれたSPARKが!アームが折りたたまれないので、コンパクトさが損なわれるのではないかと思っていたが、プロペラが折りたたまれるとそれほど気にならない。むしろ「小さい!」というのが第一印象だ。MAVICと比べるとMAVICが巨大に見える。
SAPRKが入ったケース。発泡材でできている
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中にはSPARKが。両サイドにはバッテリーが入りそうだ
MAVIC PROとの大きさ比較。MAVICが巨大なドローンに見える
お借りした機体は黄緑色だったのだが、発色も鮮やかで一目惚れ。この黄緑色のアッパーカバーが簡単に取り外しできればオリジナルカラーで塗装しようかと思ったが、頑丈にくっついていて簡単には取り外しできなそうだった。
発色は非常に鮮やか。アッパーカバーは頑丈に固定されていた
では、ポイントごとに詳しくチェックしていきたいと思う。まずはフロント周辺から。やはり目につくのは機体正面の赤外線3Dセンサー。これを用いてウワサのパームコントロールや障害物検知をするわけだ。少し汚れていたので綺麗に拭いておく。
カメラはFHD対応で2軸ジンバル(ピッチ方向とロール方向に動く)を装備している。MAVICやPhantomは3軸なので、少しシンプル化されていることになる。そのかわり、ソフトウェア上で映像を補正する機能(ウルトラスムーズ機能)をもっているので、どれくらい滑らかに撮れるか後ほど試してみたいと思う。ジンバル自体は樹脂で軽そうにできており、支えも壊れそうにない。MAVICのジンバルは壊れそうなくらいグラグラしていてジンバルロックなしに持ち歩くのは怖いが、SPARKはとても頑丈そうだ。
2軸ジンバルは非常にシンプルで頑丈そう
次にプロペラを見てみよう。デザインや装着方法はMAVICのものとそっくりだが、かなりコンパクト。硬度は固く、そして薄くできている。回転中に触れるとすぐに指を切ってしまいそうなくらい薄いので、プロペラガードは基本的に装着しておいた方がよさそう(特にパームコントロール時)。
プロペラはMAVIC PROと同じ装着方法
MAVIC PROとのプロペラ比較。親子のようなサイズ感
プロペラガードは簡単に脱着できる
最後に裏面をチェック。前方には低空時のホバリング精度を高めるポジショニングカメラ(1つ)と赤外線センサー(2つ)、後方に脱着式のバッテリーを装備。ポジショニングカメラは1秒間に数十枚の下面のスピードで写真を撮影し、一つ前の画像と今の画像を比べて機体がどれだけ動いたか(動かなかったか)位置情報を検知するセンサーだ。赤外線センサーは対地高度を測る。
機体裏面。超音波センサーはなく、代わりに赤外線センサーを備える
バッテリーは1480mAhの3セル。重さは95g程度で非常に軽い。充電器は消費電力50wで、移動中のクルマで150wのインバーター(シガーライターソケットからAC100V電源を取る装置)を使って充電したが、40~50分で満充電可能だった。また、機体下面となる面には4つの端子が備わっている。ニューヨークでの発表時には機体ごと乗せて充電できるクレードルも展示してあったとの情報もあり、今後のオプションパーツ展開が楽しみだ。
バッテリー
さっそくSPARKをフライトさせてパームコントロールをしてみる
起動から離陸まで約20秒!パームコントロールは機体との距離や手の動きによってはうまくいかないときもあったが、動いたときの楽しさは今までにない感覚
ひととおり機体はチェックしたので、さっそくフライトさせてウワサのパームコントロールをしてみたいと思う。フライト前にDJI GO4アプリで、パームコントロールを有効にしておく必要があるので注意してほしい。
では、機体を手のひらに乗せて機体後部の電源スイッチを入れる。電源の入れ方は今までのPhantomやMAVICと同じで、一度ボタンを押してLEDインジケーターが光っている間にもう一度電源ボタンを長押しする。
そして「ぴろり~ん♪」と起動音が鳴ったら準備完了。最後に電源ボタンを2回カチカチっと押す。するとカメラが操縦者の顔を認識して離陸する。電源を入れてから離陸するまで約20秒!新製品発表会で言っていた「離陸まで25秒」もかからなかった。
また何より、パームコントロールでSPARKを動かすのが何より楽しい。たまに言うことを聞かないときがあるが、それもまたご愛嬌。ペットをしつけている感じがする。注意点としては、まれに離陸時に機体が自分に向かってくることがあった。手のひらから離陸するときはプロペラガードを付けておいたほうが無難だ。
操縦している人がとても楽しそうなのがSPARKのインターフェイスの特長
機体はもちろん、スマートフォンのバーチャルスティックで操縦することも可能(後日専用コントローラーも発売。MAVICのコントローラーは互換性がないのでご注意を)。その場合はモードの選択も可能なので、操縦に慣れている方はスマートフォンで操作すると今までのプロポを使った操縦と近い感覚でSPARKを操ることができる。そちらもぜひ試してみてほしい。
画面内にある2つの「◯」がバーチャルスティック。モード変更も可能
ジェスチャーコントロールでセルフィー写真
次はジェスチャーコントロールでセルフィー写真を撮ってみたいと思う。この機能自体はMAVICにも搭載されていましたが、ホバリングしている機体に向かって、手でカギカッコのジェスチャーをすると3秒後にシャッターを切ってくれる…というもの。
少し斜め前方にSPARKをホバリングさせて、カメラを下向きに調整する。そしてカメラに向かって手でカギカッコを作れば、その3秒後に写真が撮れる。その3秒に間にポーズを!
カメラに向かって両手でカギカッコを作ると3秒後にシャッターが切られる
シャッターが切られる3秒の間にポーズ!
写真がジェスチャーで撮れるのもすごいが、それよりも驚いたのは精度の高いSPARKのホバリング。これならば写真がブレたり、位置がずれてしまったりすることはなさそうだ。
クイックショットでかんたんセルフィー動画撮影
そして、セルフィー動画の撮影。SPARKが搭載した新機能「クイックショット」でセルフィー動画を撮影したいと思う。この機能は、クリエイティブな空撮動画をアプリの機能で提供してしまう素晴らしい機能だ。
- 斜め後ろに遠ざかる「Dronie(ドロニー)」
- 被写体を中心に周囲をフライトする「Circle(サークル)」
- 被写体の周囲を旋回しながら上昇する「Helix(螺旋)」
- カメラを真下に向けて急上昇する「Rocket(ロケット)」
基本的な操作は、DJI GO4アプリから左側のプロポマークを選択し、その中にある「クイックショット」をタップする。すると被写体をターゲットする画面になるので、被写体を緑色の枠で囲い、あとはアクションを選択すれば自動で録画が始まり、アクションが終われば機体はホバリングでその場に停止する。
左側のプロポマークをタップする
次に「QuickShot(クイックショット)」をタップ
被写体を囲って(指でなぞる)クイックショットの種類を選択、最後に「GO」をタップすれば自動飛行撮影がスタートする
まずはドロニーから。
必ず後方に障害物がないことを確認してからフライトを行う
次にサークル。周囲を一周すると自動で止まる。
そして、螺旋(Helix)。だんだんと周回半径が大きくなるようなので周囲に障害物がないか気をつけてほしい。
それぞれ、映像認識機能を使うので、被写体が周囲の背景に馴染んで判別しにくいときは動作しなかったり、動きがスムーズでなかったりというときがあるようだ。SPARKでセルフィーをするときはコントラストの強いファッションで!
SPARKは手軽に持ち運べて楽しいドローン
飛ばしているときの髙橋さんも楽しそう
SPARKで遊んでみて感じたことは、シンプルに「楽しい」ということ。安価な小型ドローンだと何かしらのストレス(操作しにくい、安定しない、画質が悪いなど)があるが、SPARKにはそれがなかった。旅行や遊びに行くときにカバンに入れておき、ちょっとしたタイミングで取り出してフライトさせる…そんな場面を作ることができるドローンだと思う。
ジェスチャーコントロール/パームコントロールは特に可能性を感じた機能で、紹介しきれなかったが、SPARKに向かって手をバイバイと振ると数メートル後方上空に遠ざかり、両手でオーイと手を振ると戻ってくる。このようなコントロール機能が今後のアップデートで追加されていくかもしれない。
贅沢を言うと、クイックショットの映像のカクつき(被写体の映像認識がうまく行かなかったときに出ると思われる)が少なくなると、さらにセルフィー映像撮影が楽しくなるのではないか。また個人的には、持ち運び用のコンパクトケースが欲しい…。いずれにせよ、カメラの活用シーンを変える可能性がある機体だと感じる。ぜひ、みなさんも試してみてほしい。
・発売時期:先行予約受付中(DJIストア)
・発送予定価格:税込65,800円
モデル:髙橋早矢歌(たかはしさやか)>
ドローン女子/JUIDA認定技能操縦士、安全運行管理者
地元福島を「見る、知る、伝える」で盛り上げるべく、web CMや地域PR動画などを中心の動画制作、イベントMC、ライター、イラストレーターなど活動は多岐に渡る。