Japan Drones株式会社とドローン・ジャパン株式会社は、ドローンソフトウェアエンジニアとオープンソフトウェアによるソリューション開発に向けた実証実験のマッチングプロジェクト「APTJ(Ardu Pilot Team Japan)」プロジェクトの発足を発表した。
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「ArduPilot(アルデュパイロット)」とは、世界で普及しているオープンソースのドローンソフトウェア。大手ドローンメーカーがクローズドなシステムを組み込んでいるのに対し、オープンソースの開発可能な環境を提供しているのが特長で、マルチコプター型のほか、シングルローター型や固定翼型・自動車型などに組み込むことでオリジナルの機体を作成できる。
両社は共同で昨年5月より、ドローンオープンソフトウェアエンジニア養成講座「ドローンソフトウェアエンジニア養成塾」を運営。オープンソフトウェアArduPilotのエンジニアを、1期・2期を通じて56名輩出してきた。今回のプロジェクトは、養成塾修了生有志と協業し、増大する各行政・民間事業者が取り組む「社会課題解決型ドローンソリューション開発需要」と養成塾修了生が取り組む「ArduPilotプロジェクト」とのマッチングを図るというものだ。
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2017年度に入り、官民ともに土木・一次産業、インフラ設備点検・災害救助などの実証実験に予算がつき始めており、いくつかの事業者からはすでに声がかかっている(ドローンジャパン勝俣氏)とのこと。塾修了生の出口としても非常に有効な仕組みだ。
昨年5月からスタートした「ドローンソフトウェアエンジニア養成塾」では56名のエンジニアを輩出
当日は養成塾第三期オリエンテーションも兼ねていることもあり、会長の春原氏からArduPilotの意味や枠組みの説明があったほか、Japan Dronesのランディ・マッケイ氏よりArduPilotの最新プロジェクト事例についてのプレゼンテーションも行われ、ArduPilotについての基礎的な知識を吸収できる有意義な場となった。
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「欧米ではソリューションを作るときに一から自分たちで作りたいというニーズから、ArduPilotが育ってきた」と春原氏はコメント
ランディ氏からは、水中ドローンやデュアルGPS+RTK GPS搭載機などのArduPilotの最新プロジェクト事例が紹介された
また、終了生の成果発表会も行われ、RTK GPS搭載ドローンやインターネットと常時接続できるドローンなどのデモフライトが行われた。開発途中のものもあり、中にはデモフライトがうまくいかないものもあったが、黎明期のPCソフトウェア環境と似たものがあり、それはそれで意味がある発表だ。
松浦伸悟氏は、設置したアンカーの位置情報を擬似GPS情報としてフライトコントローラーに受け渡すことで非GPS環境下での機体制御技術をプレゼンテーション
山口達也氏は、Smartバッテリーから電流・電圧値を取得できるドライバーを開発
吉田柳太郎氏は、ワイナリーの圃場で自動車型ドローンを走行させることでセンシングや農薬散布を低コスト・低リスクで提供する仕組みを開発
川村剛氏は、小型ドローンを簡単に飛ばす仕組み「Shake Mode」を開発。振るとARM(アイドリング状態)し、投げるとフライトを開始する
海津裕氏は、RTK搭載ドローンで水田の温度分布計測を効率的に行う仕組みをプレゼンテーション。作物の有無に左右されない高度コントロールをRTKの高度制御で実現
鈴木裕一郎氏は、ドローンのクラウド管理環境をプレゼンテーション
二期生の最優秀者である柴田有一郎氏は、機体をネット接続させることで遠隔制御とリアルタイムログ管理ができる仕組みをプレゼンテーション
小宮光裕氏によるVTOL機(垂直離着陸可能な固定翼機)のデモンストレーション。マルチコプター型と固定翼型両方の機体制御プログラムが必要になる高度な機体制御が必要。
ランディ氏によるドローン×自動車型、ドローン×ドローンの自動追尾プログラムのデモンストレーション。制御側のPCで機体双方から送られてくる位置情報を把握し、それぞれの機体を追尾するように自動制御している。
ドローン元年と言われた2015年から2年が経ち、ドローンの活用はさまざまな分野に広がってきた。それに伴い、既製品のドローンだけでは対応できない場面も多々出てきており、このようなソリューションに対応したオリジナルのプログラムで動作する機体を制作できるエンジニアは、今後これまで以上にニーズが増していくことだろう。