表彰式では「Best of Japan Drone 2017」5部門とは別に、部門でノミネートされた全製品・サービスの中から、来場者投票によって選出されたオーディエンスアワードが発表された。選ばれたのはボーダックの産業用5.7GHz帯ビデオ無線伝送システムHN1000TRだ。
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HN1000TRは、2016年8月31日付で改正された電波法によって利用可能となった無人移動体画像伝送システムに該当する、5.7GHz帯を使ったドローン用アナログ画像伝送装置。これまでドローンの映像用ダウンリンクとしてもっぱら使われていたのは1.2GHz帯や2.4GHz帯だが、無人ヘリコプター搭載用の1.2GHz帯は1ch分しか使えず、また2.4GHz帯はWi-Fiと周波数帯が重なっていて非常に混雑しているなど、使い勝手が悪いものだったという。
こうした状況を受けて、昨夏に新たに電波法上に設けられた5.7GHz帯無人移動体画像伝送システムは、100MHzの帯域が確保されているため20MHz幅でも5chの利用ができるなど、これからのドローン用画像伝送用周波数帯として期待されている。
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ボーダックがリリースしたHN1000TRの送信出力は1W。EIRP(アンテナ実効放射電力)では4Wもあり、一般的な無線LANルーターの出力10mWに比べると桁違いの出力を持っている。この製品をボーダックと共同で開発したJDRI(一般社団法人日本ドローン無線協会)の戸澤洋二代表によると、神奈川県の湘南海岸で伝送実験を行ったところ、16kmという距離でクリアなカラー映像の伝送ができたという。
ドローンはこれから、離島間や中山間地への物品輸送といった目的で5km~10kmの自律飛行を行う機会が増えるのは間違いない。その際にHN1000TRは10kmを超える距離で機体の安全を確認できる画像伝送の手段として、産業用ドローンに携わる多くの来場者の注目を集めたのは間違いない。その結果が、今回のベストオーディエンス賞の受賞につながったのではないだろうか。