2016年の第一四半期にも、GoProは、自社でドローンをローンチし、市場に参入するニュースが流れたのは記憶に新しいところだ。アクションカメラで一躍有名となった同社がドローン市場を席巻できるのか?注目すべきところだ。
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現在の民間向けドローン市場は既に中国のDJI社を中心に、3D Robotics社やParrot社等の複数の企業が台頭しており、GoPro社はこの競争に参戦する形となる。Drone Analystのレポートによれば、アメリカの事情になるが、FAAにより「333 Exemption」(国空域でのリスクの低い商業無人機を含む小型ドローン飛行に対する規定の例外適用)を受けたアメリカ国内のドローンの42.9%はDJI社が製造したものであるという。2位のAeroVironment社のシェアは9.1%、その後ろに3D Robotics社やPrecisionHawk社が続く形となる。ゴールドマン・サックス社によると、商用利用向けドローンにおいてもDJI社が先頭を走り、2014年にはシェアの70%を握っていたという。
ドローンのマーケット予測とマーケットシェア率 Source:
ゴールドマンサックス
そのDJIは、中国の深圳に本社を構える。深センはITや製造業の中心地であり、中国で最も多くのドローンを製造している都市である。先日、その深セン市の税関から驚くべきデータが発表された。なんと2015年の1月から5月までに160,000台の民間用ドローンが輸出されたというのだ。価格に直すと7.57.5億元(1.2億ドル)である。さらに、1日あたりに計算してみると
160,000台/150日=1066.66台である。
ドローンが毎日、世の中に送り出されているということになる。ただ本格的な業務用などのドローンは少数で、100,000台が手のひらサイズのドローンだという可能性もあるので、ドローンの種類別の内訳もあわせて確認してみたいところだ。
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中国のドローン輸出台数が突出している理由の一つは、DJIの拠点が深センにあるということが大きい。DJIは商業用・娯楽用のドローン市場の70%を担う存在だと言われており、欧州や北米を中心に顧客を多く持っている。
民間向けドローン市場においてGoPro社が戦うべき相手はただ一社に絞られる事になる。ゴールドマン・サックス社は2015年のドローン市場を14億USDと予測しており、GoPro社の参入による需要の増加を考慮すると2017年までには更に3倍になるとしている。
GoPro社のスポークスマンであるJeff Brown氏は、
個人向けドローンはビッグチャンスである。最近格段とドローンが注目されている理由の一つは、コンシューマが作る驚異的なビデオコンテンツであると考えている。
と語った。既にGoProがアクションカメラマーケットを支配していることを考えると、GoPro社の顧客はドローン市場に難なくフィットするといえる。またゴールドマン・サックスが7月に出したレポートには、こう記されている。
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コンシューマ向けドローンは空撮を目的に(主にGoPro社の)カメラを積んでいることが多く、こうしたユーザーはGoPro社の顧客層と重なる部分が多いため、(GoPro社のドローン市場への参入は)真っ当な戦略である。
ドローンの使用目的指標
Brown氏によれば、「空撮映像は結婚式、スポーツ、家族行事など人々が屋外で行うもののほぼ全て」に活用できる。事実、FAAが例外適用を認可した事例の内訳をみると、撮影用のドローンは他市場の倍以上の数を占めていることがわかる。2位につけるのが視察や監視向けのドローンであり、多くの人が撮影を目的としたドローンの利用を希望していることが見て取れる。
GoProの創設者でありCEOでもあるNick Woodman氏が、GoProドローンは着実にリリースに向かっていることを証言した。彼はインタビューでも
2016年の前半には市場投⼊入ができるように開発が進められている。他のGoProシリーズの商品とは違う特徴をしっかりと考えているよ。
と発言している。例えば、GoProが最近リリースした「Hero4 Session」がその技術レベルの高さを示す良い例だ。ライナップとは毛色の違う仕様だ。これまで空撮向きではない!と指摘された部分を解消された設計となっているが、これがDrone向けなのかどうかは同社は明示していないが前哨戦のように思える。そう、着々とドローン産業へ踏み入れる第一歩のように思える。GoPro自身がドローンを市場に送り出すのはいつなのだろうか?1ファンとして楽しみではある。