2016年のドローン活用
新年最初のコラムということもあり、2016年の振り返りと2017年の展望を記したい。2016年の年初に「2016年はドローン活用飛躍の年!」というコラムを書いたが、同コラムに載せた「i-Construction」のように、各省庁によってルールが形成されて活用が進んでいった1年であった。2015年12月の航空法改正法施行から2016年12月9日までの1年間の申請は、事前相談も含め1万2300件、許可されたのは1万120件に及んだ。2016年でドローン活用が目立ったのは以下の分野だ。
- Advertisement -
1.「3次元測量」
公共道路工事での3次元データプロセスを示す「i-Construction」といった取り組みにより、各現場においてドローンを活用した「写真測量」のテクノロジーを使った「3次元測量」の準備が進んだ。
2.「太陽光パネル・インフラ点検」
太陽光パネル点検に関しては、エナジー・ソリューションズ株式会社のドローンアイのように検査報告までのシステム化も進み、使いやすくなった。またインフラ点検に関しても、まだ非GPS環境下の安定性などに懸念は残っているが、部分的な活用が進んできている。
3.「観光空撮」
海外旅行者のインバウンド振興という観点から、観光地でのWeb上のマーケティング目的での利用が増えてきている。
- Advertisement -
4.「農薬散布」
農林水産省は、2016年4月に「マルチローター式小型無人機による農薬散布の暫定運行基準」を取りまとめ運用を始めたことにより、マルチコプターでの農薬散布が拡がった。
5.「災害調査」
2016年も各地域で地震や台風や大雨による水害などで被害が起きたが、その際の状況把握にドローンが使用される機会が増えた。改正航空法施行以降、一般の空撮を中心としたホビーユーザーは、飛ばしにくい状況があったが、年の後半において、航空法の範囲外である200g未満のセルフィードローンが出始めており、新たな市場が形成しつつある。
2017年の展望
2017年も、2016年に活用が拡がった分野においては定着化していくとともに、その範囲を拡げていくことだろう。特に「3次元測量」に関しては「i-Construction」がより本格化し、トレーニングなどの活用に関しての予算が計上されていることもあり、公共道路工事の現場での活用が加速されるだろう。2017年は以下の分野に注目だ。
- Advertisement -
1.「インフラ点検」
橋梁やトンネルの検査でのドローン活用が切望されている。橋梁やトンネルといった環境下においては、GPSが使えない状況が多く、そういった非GPS状況での安定や測位が重要になってくるが、その非GPS状況下での技術が進んできており、点検運用のルールが確定していく中で、活用が拡がってくるだろう。
2.「物流」
山間部や離島におけるドローンでの物流も、実証実験が進んできている分野だ。一つの懸念であった電波に関しても状況が改善しつつあり、緊急性が必要な部分で、法律やルールの準備が整い次第に動き出していくだろう。
3.「リモートセンシング」
地図作成、農林水産業といった分野で、今まで人工衛星によって活用されてきたリモートセンシングであるが、ドローンの登場により、海外ではその利用がドローンにシフトしてきている。日本においても農業分野での情報化といった課題において、ドローン利用のための実証実験が進んできており、情報化にむけたリモートセンシングのガイドラインが策定される中で、動き出していくだろう。
この拡がりの中心は各地方になっていくが、各地方自治体においては、地域創生と絡めてドローン活用や運用のためのガイドラインの策定が、地域の中でドローン活用を推進していくためにも効果的であろう。また、今回のCESにおいても、多くのセルフィードローンが発表となっており、こういった手軽に利用可能なセルフィードローンの拡がりは今年も注目だ。ドローンの技術に関しては、非GPS環境下での安定や測位に注目が集まっており、2017年は実証実験が進み、新たな活用が見えてくるだろう。