背景と目的
東かがわ市の人口は昭和40年以降減少を続けており、東かがわ市が策定した「東かがわ市人口ビジョン」によると、市の人口は令和27(2045)年に1万6千人程度まで減少すると予想されている。
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少子高齢化がますます進行していく見通しの中、高齢者の住み良いまちを構築するためには、日常の買い物など生活利便性の維持が求められている。また、今回の実証エリアである五名(ごみょう)地区は、平成16年の台風災害によって孤立するなど、災害時の物流網維持が課題となっている。
さらに、日本全国の課題として、人手不足やインフラコストの増加により、従来型の物流網の維持が困難になる可能性が指摘されている。環境負荷の観点も含めて持続可能な物流網の構築のために、ドローン輸送や共同配送の仕組みなどを活用した新スマート物流の社会実装が必要だ。
このような背景を受け、日常生活の中で非常時への備えを取り入れるフェーズフリーの考え方に基づくドローン物流網および効率的な共同配送の仕組みの検討に向け、住民の理解促進および定期運航の課題を洗い出すことを目的として、東かがわ市福栄(ふくえい)地区に集約した荷物を五名地区へと配送する実証実験を実施した。
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実施内容
本実証実験は、2025年2月6日(木)に実施され、東かがわ市の福栄コミュニティセンターに設置した仮設ドローンデポへ陸送で物資を集約し、エアロネクストが開発した物流専用ドローンAirTruckを使用して、五名コミュニティセンターへと配送した。主に、買い物支援および災害時を想定し、配送物は共同配送の宅配物や災害時支援の医薬品を想定したダミーだ。
事前に設定された飛行ルートを自動運行したドローンは、片道約7kmを約17分で飛行し、約2kgの荷物を配送した。届けられた荷物を受け取った五名活性化協議会会長の小北さんは「災害などが起こった際はドローンを利活用していただきたい。将来的にはもっと大きく重いものも運んでほしい」とコメントしている。地域住民の方からは、昨今の国際情勢を踏まえ、使用したドローンが日本国産である点は情報セキュリティの観点で安心できると高く評価された。
今回の実証実験においてキヤノンMJはプロジェクトマネジメントの役割を担い、災害対策や日常生活での買い物支援の効果を確認するとともに、増加傾向にあるラストワンマイル物流に対して、共同配送とドローン物流を併用する事での脱炭素化における効果を確認した。
今後もキヤノンMJはエアロネクストと協働し、ドローンと共同配送の仕組みを活用した、レジリエントな社会を支える物流インフラの実現を目指すとしている。