買収は、必要な手続きを経た上で4月ごろの完了を見込んでいる。それに先立ち、デジタル技術を活用した農業ソリューションを提供するオーストラリアのスタートアップ「The Yield Technology Solutions」社(以下、The Yield社)の資産を買収し、オーストラリアに新しく設立した「Yamaha Agriculture Australia」社にて資産継承している。
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また、この2社を子会社とする新会社「Yamaha Agriculture」を米国に設立した。これら一連の活動により、精密農業を可能にする自動化およびデジタル化のソリューションを開発・提供し、持続可能かつ収益性の高い農業の実現に貢献することを目指すとしている。
Robotics Plus社は、ロボット工学、オートメーション化および解析技術をベースとした農業分野の自動化ソリューションを開発している。農薬等の散布に加え、除草などの機能を備えた農業用UGVや、果物の自動パッキング機、木材丸太の自動計測装置の開発実績がある。
ヤマハ発動機は、農作業を自動化する技術の開発強化と、農業テクノロジー分野の事業開発を目的に、2017年からRobotics Plus社に出資している。
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The Yield社は、高度なデータ解析とAIの活用により、収量予測を行うほか、薬剤散布、収穫などのタイミングの決定を支援して農場内外の作業を最適化するソリューションを提供する企業だ。
ヤマハ発動機社は2021年にThe Yield社とスマート農業に関する共同開発契約を締結。データ収集・活用とロボティクス技術の組み合わせによる農業のスマート化を狙いとした共同開発を行ってきた。
Yamaha Agricultureは、ロボットソリューションと高度なデータ解析を組み合わせることで、北米、オーストラリア、ニュージーランドのワイン用ブドウ、リンゴなどの生産者が、投入コストの削減や、資源利用の最適化、生産性と持続可能性を向上できるよう支援する。2024年4月に登記を完了し、同年7月より一部事業を開始している。
ヤマハ発動機は、2030年に向けた長期ビジョンとして「ART for Human Possibilities」を掲げ、「ロボティクスを活用し、社会課題にヤマハらしく取り組み、モビリティに変革をもたらす」 ことを目指している。また、新規事業のひとつに農業分野を位置づけ、将来のコア事業とするための体制強化、需要創出による事業拡大を目指している。このたびの企業2社の取得と新会社設置はその一環だ。
ヤマハ発動機の経営戦略本部長である青田元氏は次のようにコメントする。
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この新会社は、先進的なエネルギーマネジメント、インテリジェントシステム、ソフトウェア主導のソリューションに焦点を当てたヤマハ発動機のグローバルな技術ロードマップにも合致しています。この新会社の設立により、ヤマハ発動機の技術的専門知識を活用し、顧客中心のアプローチで持続可能で収益性の高い農業に貢献することを目指します。生産者は、労働力不足、資源不足、気候変動による影響といった課題に、より効果的に対処できるようになるでしょう。
Yamaha AgricultureのCEOであるNolan Paul氏は次のようにコメントする。
持続可能で収益性が高く、困難を乗り越える回復力のある農業を、生産者に保証するという使命を果たすために、Yamaha Agricultureは、生産者が直面する課題の解決に向けて、彼らに寄り添ったソリューションを時間をかけて開発していくことが必要だと認識しています。 農業における有意義なイノベーションは、生産者や業界パートナーとの緊密な連携を通じて生まれると信じています。 Robotics Plus社のロボット工学と自動化技術、The Yield社のAIを活用した分析力は、課題解決のための重要な構成要素です。私たちは、生産者にとっての真の価値を生み出す