背景
物流業界の人手不足が慢性化する中、EC市場の拡大に伴う宅配便数の増加や食料品アクセス問題などに代表される買物困難者の増加が大きな社会課題となっている。これらの社会課題に対して、2019年には経済産業省が「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」を立ち上げ、ロボット配送サービスの社会実装に向けた本格的な検討が開始された。
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パナソニックHDでは、自動搬送ロボットと遠隔管制システムを組み合わせたロボットソリューションを開発し、ラストワンマイル配送や移動販売、情報発信などでのロボット活用を推進し、各地域において社会実装を展開している。
ロボット活用による人手不足の解消には、1人の遠隔オペレーターが安全に、多くのロボットを同時に運行できることが重要になる。これに対してパナソニックHDでは、2022年4月、日本で初めて1人のオペレーターによる遠隔操作型小型車の4台同時かつロボット近傍に保安要員を配置しないフルリモート型での運行を実現した。以降、複数台のロボットを同時に運行しながら、様々なパートナーとともにサービス提供を継続してきた。
実証実験の概要
今回、更なる効率化を図るために、遠隔オペレーターの一部業務をサポートするAI機能を開発し、遠隔オペレーターの作業負荷を大きく低減させることにより、同時に運行できるロボットの台数を10台に増やすことが可能となった。また、神奈川県藤沢市と大阪府門真市、佐賀県佐賀市の3地域、合計10台の自動搬送ロボット「ハコボ」をフルリモート型で運行する。
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今後、1人のオペレーターが複数地域を跨ぎながら、複数のロボットを同時に活用したサービス提供への貢献を目指すという。
さらに「ハコボ」は、後部に搭載するキャビンをカスタマイズすることで移動販売や情報発信など様々な用途にも対応できるため、複数の台数・地域・サービスを組み合わせることにより、ロボットサービスの運用コストを抑えることが可能となるとしている。遠隔地にあるオフィスからロボットを運行できることで、地域間での働き手のアンバランス解消や働き方の改善にも貢献していく方針だ。
今後の展開
パナソニックHDでは、モビリティサービスプラットフォーム「X-Area(クロスエリア)」を展開し、AI/ロボティクスの活用により、遠隔からもモビリティをつかいこなすことで、いつでも、どこでも、どんな方でも、安心して働くことができる、暮らしを便利にするサービスを利用できる社会づくりを目指しているという。
今後も「ハコボ」やその他の自動搬送ロボット、遠隔管制システムなどを組み合わせたロボットソリューションの提供を通じて、ラストワンマイル配送に留まらず、商品販売を始め、警備や見守り、広告、案内など様々な業務において、暮らしを便利にするサービス提供や労働力不足、労働環境の改善に貢献していくとしている。
これらの成果の一部は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の下記事業の結果得られたものである。
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- 助成事業名:革新的ロボット研究開発基盤構築事業/自動配送ロボットによる配送サービスの実現
- 委託事業名:内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備