スイスの郵便事業会社「スイスポスト」は無人航空機による小包の配達を試験的に開始すると発表した。同社幹部らは今月7日、配達に用いるドローンを公表し、まずは配達能力を確かめるためのテストを今月末まで行うと発表した。今回使われる白色のドローンは、トイレの便座程の大きさのリング状の中心部と、そこから伸びる四つのプロペラから構成されている。中心部には会社のロゴが入った黄色い箱が設置される。
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スイスポストは
このドローンは非常に軽く、一度の充電で1キログラムまでの荷物を10km以上運ぶことができる。このドローンはMatternet社(米国)が開発したクラウド型ソフトウェアを用いることで、予め決められた安全なルートを自動飛行することができる
とコメントした。
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本プロジェクトにおいて、スイスポストはスイスインターナショナルエアラインズの航空貨物便部門であるSwiss World Cargo社から協力を得ており、実際に利用を開始する前に厳重なドローンテストを繰り返すと強調した。また「商用利用までは現実的に考えて約5年かかるが、それまでにクリアすべき条件がいくいつかある」と説明した。
中でも、アルプス山脈を超えて配達する制度を確立させることで、山脈に散在する小さな村や過疎地域にも荷物を配達することができる。また、電池の消耗等といった技術的な制約もテストを通して模索する必要がある。
現状では、ドローンの利用は緊急時のみに限定し、嵐などで外部から孤立してしまった地域に物資を届ける等といった用途として使うことを検討している。また「研究所のテスト結果など、急を要する優先度の高い配達物に対してドローンを用いることも多いにあり得る」としている。
2013年の暮れに、世界最大級の通販サイトを運営する米アマゾン社がドローンを用いて注文から30分以内に配達を行う“Amazon Prime Air”構想を発表したことはまだ記憶に新しい。しかし先月同社は、アメリカ政府による一般市民のドローン利用の規制がかかった場合、サービスを徹底的に点検し直す必要があると明かした。ドローンによる無人配達と、規制との戦いはまだ続く。