現場の課題と新技術開発の背景
従来、茶園の生育状況は、担当者が一つ一つの茶園を目視で確認し、その判断に基づき施肥や枝の管理、防除方法などを決定していた。しかし、近年における茶園の大規模化により、全ての茶園を見て回ることは困難になっていた。また、目視での判断は担当者の経験則に頼る部分が大きく、客観的なデータに基づいた管理が難しいという課題があったという。
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このような背景から、茶業試験場では、リモートセンシング技術を活用した茶園診断技術の開発に取り組んでいた。
ドローンによる茶園診断技術
今回発表されたドローンによる生育診断技術は、従来の衛星画像を利用した診断技術と比較して、ドローンによる診断技術は、より高頻度で自由に撮影が可能であり、高解像度画像の取得が可能。また、データの解析も簡易に行うことができ、安価かつ簡便に運用できるという利点がある。
ドローンに搭載されたカメラで撮影した画像から、NDVI(正規化植生指数)という指標を解析することで、茶園の生育状況を可視化できる。NDVIの値が高いほど生育が良い(-1.0~1.0)と判断でき、これにより、茶園の生育状況を面的に把握することが可能になる。
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技術の実証と効果
試験場内での実証試験では、ドローンによる撮影時間は20分(飛行時間15分)で、撮影効率は12a/分と、携帯型測定器の30倍の効率であることが確認された。
また、メッシュマップ化により、これまで把握が難しかった細かい生育のばらつきまで可視化できるようになった。これにより、生育の良い茶園とそうでない茶園を明確に区別し、それぞれの状態に応じた適切な管理が可能になるという。
今後の展開
茶業試験場は、今後、ドローンを活用したNDVI診断をさらに発展させ、診断時間を大幅に短縮し、誰もが簡便に管理方法を判断・実行できるようにすることを目指すという。
この技術が広く普及することにより、大規模経営においても全ての圃場においてきめ細やかな管理が実現し、収量・品質の向上および収益アップに貢献することが期待されるとしている。