12月19日、大手携帯電話キャリアKDDI株式会社はモバイル通信搭載ドローンを活用したプラットフォーム「スマートドローン」の事業化に向けて、国内産業用ドローンメーカー株式会社プロドローンと国内最大手の地図制作会社株式会社ゼンリンとの提携を発表した。
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スマートドローンプラットフォームは、機体・3次元地図・運航管理・クラウドの4つの要素で構成される。従来のドローンはラジコンの電波やWi-Fiでコントロールしていたが、同社の4G/5G通信網を利用したモバイル通信搭載ドローンを活用することで、遠隔地からのドローン制御や広範囲でのドローンの自律飛行、衝突回避などの飛行ルート管理やビックデータ解析などが可能になる。
KDDI株式会社山本泰英執行役員常務
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また、事業パートナーのラインナップも注目だ。ドローンの機体開発、そして地図制作でそれぞれトップを走る国内屈指の企業だ。機体を担当するプロドローンは、ロボットアームを備えた直接作業型の大型ドローンなどを手がけるほか、全天候型のドローンや安定したフライト機能などにも定評がある産業用ドローンメーカー。秋田県仙北市でのドローンによる物流実証実験や、各地におけるドローンによるインフラ点検など多くの実績もある。
株式会社プロドローン河野雅一代表取締役社長
ゼンリンは地図制作会社としては国内最大手。コンシューマー向け地図サービスとして馴染みの深いGoogle MapsやYahoo!ロコなどのサービスもゼンリンの地図データを利用している。3次元の地図データを提供し、衝突回避機能や複数のドローンを制御する運航管理システムを構築していく。
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株式会社ゼンリン藤沢秀幸上席執行役員
記者発表会では、渋谷の会場から233km離れた場所にあるロボットアーム付きのドローンがAEDをアームで掴み、マネキンがある場所まで運ぶデモンストレーションも行われた。機体をタブレット端末で操作するパイロットと、アームを操作する補助者がロボットアーム付きドローンをコントロールした。会場のスクリーンにはドローンの動きが映し出されたほか、ドローンに搭載されたカメラからの映像も映し出された。このドローンの操作やドローンからの映像はKDDIの4G回線を使っているという。
233km離れた愛知県のヘリポートにあるドローンを渋谷の会場から操作
アーム操作用のグローブインターフェイス
スマートドローンプラットフォームは、まずは2017~2018年を目処にBtoBトータルソリューション(広域農業・遠隔検査・遠隔監視・災害救助等)を想定した事業化を目指す。その後、BtoBtoCコンシューマサービスまで発展させていきたい考えだ。
総務省の規制緩和の流れで、これまで禁止されていた浮遊体への携帯通信端末を搭載することが可能になった。その流れを受け、携帯通信キャリア各社NTT docomo、SoftBankに続いてKDDIもドローン分野に本格的な参入となった。ドローンの分野から見ても、携帯通信網を活用したドローンの制御は明らかにこれまでとは違うフェイズに移行する。ドローンが社会インフラの一部となる未来にまた一歩近づいたと言えよう。新たな分野への挑戦となるだけに障壁も多くあるだろうが、とても期待が持てる取り組みのひとつである。