経済合理性や貨物の搭降載などの運用面、充電設備などの技術面の検証に加え、2025年夏には、BETA社製eCTOL(電動固定翼機)「ALIA CTOL」を使用した試験飛行の実施を計画し、電動航空機による貨物輸送の実用化に向けた共同検証を行う。
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電動航空機による貨物輸送を想定した2地点間飛行としては、日本初となる見込みだ。
本検証を通じて、スピード輸送による地方創生や物流における脱炭素化の実現、地方・離島向け物流ネットワークの強化など、持続可能な物流網の構築を目指すとしている。
日本の物流業界では、国内で排出されるCO2のうち18.5%を占める運輸部門の脱炭素化、過疎化が進行する地方・離島における物流ネットワークの維持などが課題となっている。
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双日は、65年以上にわたり米国ボーイング社の日本向け民間航空機総代理店として航空機の販売に携わる中で培った、他の航空機メーカーや航空会社、運航支援事業会社などとのネットワークや豊富な知見と経験をもとに、日本における電動航空機の市場開拓と確立に向けて2022年からBETAと協業している。双日は日本での許認可取得に向けたサポートを含め、電動航空機を有効に活用する導入方法の確立を進めている。
BETAは、安全性を最重要視して電動航空機の社会実装を目指している。物流や軍用、医療搬送、旅客といった領域でeCTOLとeVTOL(電動垂直離着陸機)を開発しており、米国では米軍や医療、旅客事業者と試験飛行の実績を積み重ねるとともに、自社で開発している急速充電設備を2024年までに米国内の44カ所に設置した。「ALIA CTOL」は、2025年末までに、米国での型式証明取得を目指すという。
ヤマトHDは、2024年2月にヤマトグループ中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を発表し、持続可能な未来の実現に貢献するため、多種多様なパートナーとともに、「新たな物流」「新たな価値」の創造を目指している。
本検証地となる北九州市とは2023年7月に「物流連携協定」を締結し、持続可能な物流ネットワークの構築と地域産業の競争力向上を目指している。また、2024年4月から貨物専用機の運航を開始し、北九州空港を重要な航空貨物輸送のハブ拠点として運用するなど、「新しい運び方」をテーマに様々な取り組みを行っている。
北九州市は、最先端技術を活用することで、北九州空港を拠点に新たなビジネスやサービスの創出を目指している。ヤマトHDとの物流連携協定に基づき、環境に配慮しつつ経済と社会を発展させる「新しい運び方」をともに構築する取り組みを進めており、本検証への参加を決めた。
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本検証で使用する「ALIA CTOL」は、ジェット燃料を使用せず電動で空港の滑走路を離着陸する航空機だ。
積載量560kg以上、航続距離約400km以上という性能を活かし、従来のトラックや船舶などの手段によりCO2を排出せず効率的な貨物輸送を実現する輸送方法として期待できるという。
本検証では、従来の輸送手段を電動航空機で代替した場合の経済合理性のシミュレーションや貨物を搭降載する際のオペレーションなどの運用面、充電設備といったインフラなどの技術面を検証します。また、北九州空港と宮崎空港の2地点間で試験飛行を実施する予定だ。
- 双日は、機体の国内での使用や試験飛行に向けた諸手続きなどの検証全体のコーディネートに加え、今後、機材を国内に導入するために必要な体制の構築をBETAと連携して推進する。
- BETAは、機体の提供に加え、機体・充電インフラの運用や効率的に貨物輸送するためのアドバイス、試験飛行の運航オペレーションなどを担う。
- ヤマトHDは、貨物輸送に関するオペレーションのアドバイスする。
- 北九州市は本検証を進めるうえで必要となる北九州空港を拠点とした各インフラや関係官庁との調整を支援する。