CESにおけるドローンの進化を振り返ってみよう。
2015〜2017年頃のCESでは中国のDJI、フランスのParrot社がドローンを積極的に展示していた。ラスベガスのコンベンションセンター会場の中央ではドローン飛行のためのネットステージが準備され、ドローンの試運転を楽しめたものだ。その後、水中ドローンや陸上ドローンなども登場し、CESはドローンの進化を見るために最適なテクノロジー見本市だった時代もあった。
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だが、Parrotが後退し、HUAWEIの締め出しから始まる米国の中国企業規制を軸に、DJIはじめ中国系のドローンはCESから姿を消した。コロナ以降のCESではドローンは存在感がとても薄いものとなった。
そのドローンが、存在感を再び示したCES 2025
ヴェネチアンエキスポの2階にあるグローバルパビリオンの中央に構えられたウクライナブースは大小様々なドローンを展示していた。ウクライナでは戦争が始まってからドローンの会社が増え、現在では700社がドローン開発をしていると言う。
コンパクトのものから大型まで展示していた。実戦で活用している、その実力を展示し、他国/企業に購入してもらうための展示だ。偶然かもしれないがドローンの紹介をするウクライナのブーススタッフは女性が多かった。
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展示社の一社、SKYFALLでもらったパンフレットは開いた見開きにはウクライナ国防省の写真が掲載されていたり、ページを進めると米国や英国、EUなどの要人達もSKYFALLを訪れていると記載されている。軍事的であり政治的なパンフレットだ。
少し感傷的な話を入れる。ロシアの侵攻直後の2023年のCESでもウクライナは展示をしていた。ただドローンではない。領土を奪われる喪失、祖国の面影をキャンドルとして残そうとするものだった。コーヒーの香り、花の香りなど自分たちの祖国の思い出を香りに詰めるプロダクトを紹介していた。
それが2年たった2025年、感傷的な雰囲気はブースに全くない。そこにあるのは現実に向き合い、実戦で培ったドローンのナレッジを紹介するウクライナがそこにはあった。もちろんブースに立っている人は2年前と違う。ただ、2年前の優しさや感情に訴えかけてくる素振りは全く消え、自国ウクライナのドローンの性能を淡々と語っている現実を紹介する勇ましい姿がそこにはあった。
今、世界各地で軍事的な強化が叫ばれている。ウクライナブースでは実績を上げているドローンの性能を聞き、ソリューションを購買する動きがあったと思われる。
各国のドローンソリューション
ウクライナ以外にはフレンチテック「YellowScan」がLiDAR 3Dマッピングソリューションドローンを紹介していた。また、「母艦」としての車と、フライングカーのドッキングが話題の「XPENG AEROHT」も展示されていた。サイバートラック風の車から飛び出るフライングカーはさながら移動式サンダーバード基地とも言える。トヨタやデルタのセッションではエアタクシーの「Joby」の可能性が言及されていた。
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話はドローンから逸れるが、CESのスタートアップが集まるエリアにEureka Parkというものがある。そこに米国軍(US Army)が出展していた。世界各国のスタートアップが集まる場所で良いソリューションは軍事的にも採用する動きもあるのだろう。軍こそ最新鋭のテクノロジーを欲しているところである。そのことは頭ではわかっていつつも、ウクライナや米国軍の存在に、世界最大級のテクノロジーの祭典は、軍事面とも隣り合わせのソリューションが展示されていることにも気付かされるCESだった。