txt:野々下裕子
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開催まで110日を切った大阪・関西万博では、目玉の一つとして会場周辺において空飛ぶクルマのデモ飛行が実施されることが計画されている。当初予定していた周辺と会場を結ぶ商用運航は、機体の審査や飛行許可などの課題がクリアできず実現しなかったものの、実用化に向けた動きは継続している。
その機運をより一層盛り上げようと、12月18日、19日に大阪・梅田のナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターで「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2024 in 関西」が開催された。
空飛ぶクルマだけでなく、ドローンビジネス全般に関する幅広い展示や飛行デモも行われ、年末も押し迫る忙しい時期にもかかわらず、たくさんの参加者が会場に詰めかけていた。
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空飛ぶクルマ関連では、丸紅エアロスペースと連携して実装化を進めている英国Vertical AerospaceのeVTOL、国産eVTOLの開発を進めるスタートアップのテトラ・アビエーションがモックアップを展示。
ANAホールディングスとJoby Aviationはパネルとビデオで、実用に向けた試験飛行などが順調に進められていることが紹介されていた。
あわせて、関西エリアで進められている自治体のプロジェクトを紹介するコーナーが設けられ、複数の計画が現在進行中であることが紹介されていた。VRを使ったフライトシミュレーター体験コーナーもあり、国土交通省と経済産業省が事業化に向けてどのような調整や支援を行っているのかを紹介するパネル展示もあった。
白銀技研
大型の展示会場に比べるとやや狭い会場ということもあり、実機の持ち込みが難しい中で唯一展示されていた空飛ぶクルマが白銀技研の「Beedol」だ。今年6月に福島ロボットフィールドでの試験飛行機を成功させたばかりの1号機が展示されており、かなりインパクトがあった。
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会場では現在開発中の2号機の小型スケールモデルも展示。全長3.11m、全幅3.58m,高さ1.24mの本体は、ローターが付いた羽の部分を折りたたむことができ、幅が1.14mとほぼ半分の大きさになる。
開発は順調で、来年2月には本社がある岐阜県で試験飛行を実施することが計画されており、いよいよ人を乗せてテストすることも決まっている。
代表取締役の西洋介氏は、次のようにコメントした。
白銀技研ではこれまで開発を少人数で進めてきましたが、1号機が成功したことで関心が高まり、少しずつ支援の動きも出てきています。
万博でのデモ飛行も視野に入れており、実現すればさらに注目度が高まりそうだ。
飛行機研究所
もう一つ実機の展示では、若手社会人を中心とした有志団体の飛行機研究所が、24時間連続飛行が可能な固定翼UAVを展示していた。
機体は手作業で製作されており、説明員のメンバーに話を聞いたところ、次のようにコメントした。
製作は具体的なビジネスやプロジェクトを目的としているわけではないものの、ソーラードローンは定点観測や調査、監視など、応用の範囲が広く企業での開発も進められており、関連技術の提供などで協力できればと考えています。
ジャパン・インフラ・ウェイマーク
会場では水中・水上ドローンの展示もあった。ジャパン・インフラ・ウェイマークは自社で開発するカメラとソナーを搭載したボート型ドローンを出展。水面を全方向に移動でき、水深が浅くて狭いためボートや人力での点検が難しい場所や、高さが低い溝橋などで、点検を行う目的で運用を依頼されるケースが増えているという。
ドローンはニーズにあわせてカスタマイズし、水底の3Dデータを収集、管理できるシステムも自社で開発しており、これから本格的にビジネスとしての展開を目指している。
ジュピター
ドローンビジネスを活気づけるために不可欠といえるのが、ドローンパイロットの育成だ。ドローンスクールを運営するジュピターは、これまでに培ってきたノウハウをもとに、登録講習専用のドローンを2タイプを独自に開発し、今回初めて公開した。
限定解除25kgに対応した「J25」と、基本講習および限定解除に対応してオーバーライドも可能な「J500」があり、いずれもスクールや講習会向けにレンタルで貸し出す。
そうした開発技術を応用して、他にも審査判定ができる小型ドローンや、超狭所を空と陸の両方で4K 30fpsで撮影できるマイクロドローン「Co-eone20」もあわせて出展。
さらに、スクールの事務作業を大幅に軽減し一元管理し、修了審査の採点機能や監査資料の自動作成もできるオリジナルのシステムも開発しており、これらもあわせて全国のスクールや講習会向けに提供することを計画している。
他にもいろいろな機能と目的にあわせたドローンもたくさん展示されていて、どのブースも熱心に話をしている人たちが多いという印象であった。デモ飛行も複数の場所で行われており、DJI以外のドローンの存在や、新しい機体の進化を見てあらためて関心を持ったという声もあちこちで聞こえた。
エアモビリティもさることながら、物流や農業、点検といった分野でドローンの活用が国内でもだいぶ広がっているものの、関係者以外でそうした情報を知る機会は少ない。
今回、コンパクトでもふらりと立ち寄れる場所を会場にしたことで、市場全体を俯瞰することができ、一般にも広く情報発信するという目的では成功したのではないか。万博ではさらに多くの人たちに空飛ぶクルマやドローンについても知ってもらい、ビジネスにつなげる機会になってほしいものだ。