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プロジェクト概要
ネズミによる経済的被害はイノシシやシカに比べ少ないが、鳥インフルエンザなど家畜の伝染性疾病の媒介者ともいわれ、ペストコントロールの観点で対策が重要だ。また、住居や建物など設備や機材に対する被害も広く知られている。
本プロジェクトは、AIとドローンを活用してネズミを「検知・測定・牽制」することで、主に食糧倉庫などでの被害低減を図る、これまでにない「次世代鳥獣被害対策ソリューション」の開発を目指すものである。
株式会社ヤマサと信州大学 工学部 設計工学研究室が主体となり、長野県松本工業高等学校が協力する産学連携プロジェクトとして、2022年夏に始動した。正式名称は、「いたずらネズミとお手伝いドローンプロジェクト」だ。
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実証実験の内容
- 今回の実験は、「検知・測定・牽制」のうちの「牽制」パートを中心に実施。事前に飛行テストの屋内現場を3Dマップ化し、人を仮想鳥獣と見立て、AIが検出して自動でドローンが飛行。ドローンがダミー障害物の脇をすり抜けるような最適飛行経路を生成。
- 目的地に到達したドローンは仮想鳥獣に対して、威嚇行動を実施。
- 行きのコマンドを元に、スタート位置へ帰還する飛行コマンドを自動で作成して、実際に帰還飛行を行う。
結果
- 三者それぞれで構築したシステムの結合および実行に成功。
- AIの検知座標を元に最適な飛行経路を決定し、ドローンを飛行させ、行きの飛行経路を元に帰還用の飛行経路を自動的に作成し実行するという一連の流れを実証することができた。
- 今回の実験結果は「屋内において、AI物体検知をトリガーとし、事前に撮影した3次元点群データを元に計算された、最適経路を用いてドローンを飛行させる」というプロジェクトが実現可能であると確認された。
- ドローン到達点の精度や、到達スピードなどを高めることは、今後の課題。
- 2024年2月29日付けで「特許第7445909号 害獣駆除システムおよび害獣駆除プログラム」として特許を取得。
各者の役割
担当 | 内容 |
---|---|
ヤマサ |
AIモデルの開発: 教師データ収集、データセット作成 物体検出アルゴリズムを用いた独自モデルの開発 特定の地点(画角)に映るネズミを検知できるモデルの開発 AIカメラシステムの開発: システムインテグレーション: |
松本工業高校 |
ドローン飛行プログラムの作成: AIの検知信号をトリガーに発信し、3Dマップ上の目的地に向かって飛行し、帰還するプログラムの作成 ドローン基地の開発: |
信州大学 |
3次元点群データ作成: iPadを用いた低コストな点群データの作成方法の提案と実証 実空間との誤差修正方法の提案 飛行経路最適化: |
今後の展望
ヤマサは、この実証実験結果を基にさらに高い汎用性を持ったソリューションの形を模索していくという。また、実証結果の実用化においても、鳥獣被害の悩みを抱えた事業者や、業界関係者など、新しい協力先も探しながら、具体的な計画を進めていく予定だ。