2014年の打ち上げ当時の設計寿命は5年だったが、高度な設計・開発技術と長期安定運用の実現によって、稼働開始から10年を経過した現在も正常に稼働し、観測を続けている。
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今後も、両社協力のもと、「ASNARO-1」の安定稼働を継続し、衛星製造・運用の技術開発、衛星画像の利活用などを通じて、日本の宇宙関連事業の発展に貢献していくとしている。
「ASNARO-1」について
「ASNARO-1」は、経済産業省が実施したASNAROプロジェクト(Advanced Satellite with New system ARchitecture for Observation)の一環として開発が進められ、2014年11月6日に打ち上げられた。
「ASNARO-1」の開発・製造はNECが担当し、地上システムの開発と打ち上げ後の実運用をパスコが担当している。
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衛星の開発・製造:NEC
「ASNARO-1」本体の共通部分(バス)は、NECの小型標準バス「NEXTAR」を採用した。衛星のバス部とミッション部が構造・熱・電気的に独立し、バス側の設計変更を行うことなく、複数のミッションへの対応が可能だ。
この技術は、高性能小型レーダー衛星「ASNARO-2」、ベトナム向けの地球観測衛星「LOTUSat-1」にも受け継がれ、市場競争力の高い衛星開発に貢献している。
地上システム開発・衛星運用:パスコ
パスコは、運用スケジュールを最適化し、運用データの管理・解析を行い、ミッションの成果を最大限に高める計画系システムと、可搬型地上局の開発・製造した。また、バス系運用システムについては、NECの支援を受けて開発した。
実運用開始後も定期的なシステム改修を行うことで、安定した運用を実現している。その成果は、他衛星の運用システム開発にも受け継がれている。
長期運用が継続できている要因
設計・開発技術もさることながら、長期安定運用を目指した運用制約条項を両社で策定し、負荷を軽減する運用を心掛けている。
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NECでは定期的な衛星のチェックを行い、パスコは観測スケジュールや衛星の状態などからバッテリ負荷を低減するバス運用やミッション運用に取り組んでいる。
これまでの運用成果
「ASNARO-1」は、元離宮二条城、東京スカイツリー、西之島などの初期撮影実施以降、2016年4月の熊本地震や2018年3月の霧島山系・新燃岳噴火などの災害時の緊急撮影画像を含め、これまで約41,000枚の光学画像を取得している。
また、日本発の衛星データプラットフォーム(Tellus)で衛星画像を公開し、衛星データの利活用に貢献している。