前回、「Dronecodeの変節」でDronecodeの変化を記したが、その騒動の中で、DronecodeのFlight Codeから離れることになったArduPilotに関して、今回は取り上げてみたい。
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「Ardupilot.org」
Ardupilot.orgは、Dronecode陣営にあったときから、独立したオープンコミュニティとして組織化されていた。その組織の中心メンバーは現在11名で構成されており、その中心メンバーが各プロジェクトをLeadしながら、日々開発がされている。今回ほぼこの中心メンバーがそのままDronecodeから離脱し、新生Ardupilot.orgとして独立した(現在、グループのわかりやすい名前が検討されていると聞いているが、まだ決まっていない)。
独立に際して、コミュニティを支えるために新たなパートナーを募ることになった。それがArdupilot Partnersである(年間$1000の寄付金が条件)。2016年11月10日現在20社がパートナーとして参加している。
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現在、日本では、エンルートとドローン・ジャパンが参加
ArduPilotの歴史
ArduPilotの歴史は、まさにドローンの歴史といってもよい。振り返ってみたい。
ArduPilotの礎となったのは、2007年5月にChris Andersonが立ち上げたDIYDrones.comである。DIYDrones.comはLego mindstorms
をベースに作られたドローンであった。
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2008年9月にJordiが自律航行が可能なシングルローターのヘリコプターを作成し、Sparkfun AVCというコンペで最初の賞を獲得した。
2009年にChris AndersonとJordi Munozは3D Robotics社を創業する。2009年5月には、最初のArduPilot Boardが3DRのJordiによって、リリースされた。その11月には、Jordiによって、ardupilot codeのベースが作られ、最初のバージョンのInertial Measurement Unit(IMU)慣性計測装置が作成された。
そこから、2010年までに、航行制御の基礎となる部分の改良がなされた(V2.5)。2010年には3DRより、最初のフライトコントローラであるAPM1がリリースされ、夏には、APM1を使ったドローン自律飛行のミッションが行われた。また、jDronesによって最初の自作用のクアッドのフレームの販売も開始された。
2010年8月には、最初のバージョンのthe Mission PlannerがMichael Oborneによって、リリースされた。
2011年4月には、Sparkfun AVCで最初の完全自律自動航行が披露された。
2011年、APM2が3DRよりリリース。2011年11月には、Tridgeによって、AutoTesterが作成され、テストの精度が上がった。
2012年、APM2.5/2.6が3DRよりリリース。
2012年2月、現在のArdupilotの体制につながる体制の変更があった。回転翼のLeadを担っていたJasonからRandy Mackayに固定翼のLeadは、DougからAndrew Tridgellにシフトされた。
2012年7月にはPX4がETH/3DRよりリリース。2012年11月には、初めてのAPM2.5の互換フライトコントローラが登場する。
2013年に入って、ardupilot codeがgoogleから現在のgithubに移行された。
2013年初頭には、Android上でのグランドコントロールシステムであるDroidPlannerが Arthurによって、AndroPilotがKevin Hesterによって作られた。
2013年は、様々な飛行の安定化の改良が中心的なDeveloperによって成された。
2013年11月、PixhawkがETH/3DRによってリリースされた。
2014年3月には、NAVIO上で初めてのRaspberry Piを使ってArduPilotを載せたフライトコントローラが発表された。その後、動きは、Linux搭載ボードに拡がっていく。
2014年10月、Dronecode Foundationの設立が発表される。
2015年6月、3DRは、コンパニオンコンピュータが組み込まれたSoloを出荷。
2015年8月、arduplaneで50機が同時に飛行する実験が成功。
2016年3月、3DRがArduPilotコミュニティへの直接的な資金提供を停止。
2016年9月、DroneCode PlatinumのボードメンバーがDroneCodeからArduPilotを含むGPLv3プロジェクトを削除。
ArduPilotの構造
Ardupilotの上位構造に関しては、現状Dronecodeと変わっていない。
また、Ardupilotの内部構造は以下の通りだが、センサー部の高度化およびCPUの高速化により、今までDronekitを通じてコンパニオンコンピュータ上で実行されていた内容が内部化してきている。
ArduPilotの日本での動き
ArduPilotの回転翼のLeadを務めるRandy Mackay氏が、軽井沢に在住し、日本語も堪能であるということもあり、日本で独自なコミュニティを作っていく動きがある。11月11日、ArduPilot Team Japan(APTJ)プロジェクトが発表された。
“Randy Mackay(ランディ・マッケイ)x「ドローンソフトウェアエンジニア養成塾」による、ドローンオープンソフトウェア「ArduPilot」(アルデュパイロット)最新テクノロジー紹介と、日本から世界への発信を目的とした“APTJ”(ArduPilotTeamJapan)プロジェクトとそのエンジニア人財育成事業「第3期ドローンソフトウェアエンジニア養成塾」を2017年3月25日より開始”
ドローンの技術は、日々進捗していっているが、Ardupilotにおけるデベロッパーの動きは今後とも注目していくことで、その動きや流れというものをつかむことができるだろう。