Hawaii Kualoa Ranchの広大な敷地で開催された大規模ドローンレース
2016年10月17日(月)から22日(土)に、HawaiiのKualoa Ranchの広大な敷地を利用してドローンレースが開催され、私も含め日本からも多くのパイロットが、世界からは39カ国190人に登るドローンパイロットが参加した。
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レースは大きく2つに別れており、希望者が参加できる「アロハカップ」と各国のレースで出場権を獲得したパイロットが参加可能な「チャンピオンシップ」の2部構成。
17日、18日と行われたアロハカップは天候にも恵まれ、およそ滞りなく運営。多少の遅延はあれど3ヒートずつタイムアタックを行い、上位32人でトーナメントが行われ上位8人がチャンピオンシップへ出場となった。19日からのチャンピオンシップでは、運営上の遅延や悪天候により、当初予定していたヒートを遂行できず、各パイロット3ヒートのタイムアタックと上位32人のトーナメントが行われた。
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その他、固定翼、クアッドのフリースタイル、プロサイトを利用したHDレース、国別対抗レースが行われ、6日間で多くの種目が行われた。
世界トップの実力とは?
トップパイロットのドローン機体
今回のハワイ大会のチャンピオンシップコースは、丸型ゲートをパワーループしたり、アップダウンを繰り返すなど一部テクニカルな部分があるも、直線が多く入ったスピード型のロングコースで、いかに安定的にスピードを出すかが勝負の鍵となった。参加したパイロットたちの機体の特長としては「ボトムバッテリー」「Xフレーム」「軽量(400g台)」の5インチ機が多く使われていて、機体の性能自体に大きな差異はないものと思われる。
チャンピオンシップレースの結果は、韓国KDRAチームが善戦するものの、USAのトップパイロットが一つ上の実力を見せつけ、USAのショーン選手が優勝。残念ながら日本人選手の上位入賞はかなわなかった。機体の性能の差はそこまで大きくなく、単純に操縦技術の差やスピードコースを想定した練習の不足、世界大会といった舞台慣れができていないことが今後の課題だ。
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チャンピオンシップ予選通過後のトーナメント32結果
大規模レース運営に学ぶ今後のドローンレース
ブリーフィングの様子
10月のハワイは雨季であり、突発的な雨や強い風が起こりやすく、3日目のチャンピオンシップからは悪天候が続きレース運営に遅れが出たが、屋外レースを行う上では、このような例外対応が起こり得ることは想定内だ。
今回のレースでは、そうした天候面での遅延や運営上(運営側の手配やパイロットの準備など)の遅延の両方が発生したが、ここには100人を超えるパイロットが参加し多様な競技が行われていた。実際のスケジュールを元に振り返ってみたいと思う。
■17日:アロハカップ事前登録等
■18日:アロハカップ予選(固定翼、フリースタイル、クアッド)
8:30am–9am:ブリーフィング
9:00am–11am:固定翼予選
9:00am–10:30:フリースタイル練習
10:30am–2pm:フリースタイル予選
11:00am–5:30pm:クアッド予選
機体チェックで特長的だったのは、フェールセーフテストを行うことであり、安全対策として、「プロポの電源をOFF後、3秒以内にモーター停止すること」が全パイロットに義務付けられた。各予選はやや時間を変動し行われたものの、パイロットによってはどのヒートに参加すればよいかが明確ではないことがあり多少の混乱が生まれていた。
■19日:アロハカップ本選
9:00am–12pm:フリースタイル本選
9:00am–2pm:クアッド本選
2pm–3pm:表彰セレモニー
3pm–5:30pm:チャンピオンシップの事前登録
スケジュールの前後などが発生したものの、ここまでは天候に恵まれ、クアッドではUSAのBapu選手が優勝しアロハカップが終了した。
■20日:チャンピオンシップ予選1日目
7:30am-9:30am:クアッド個人参加登録
9:30am-10:00am:パイロットへの説明会
10:00am–5:30pm:クアッドタイムトライアル
10:00am–5:00pm RULR HD トラック
クアッド個人パイロットは2つのグループ(GroupA:60人、GroupB:80人)に分けられ、それぞれがロングコースとショートコースに別れ、2日間をかけてコースを変更し、それぞれのベストタイム3周が記録となる予定だった。
しかし、GroupBは電波トラブルなど運営上の進行がスムーズに行かなかったこともあり1ヒートしか行えず、GroupBの運営が大幅遅延した。そのため、当初のロングコースを走るGroupAのヒートを3回で終了し、GroupBもロングコースでタイムトライアルを行ったため、ショートコースの記録は無いものとなった。突発的な雨などが発生したため、レースもとぎれとぎれとなってしまう結果となり、この日は終了した。
■21日:チャンピオンシップ予選2日目
10am–5:30pm:クアッド予選
10:00am–5:00:RULR HDトラック オープン
6:00pm:レース会場クローズ
8:00pm:GoProアロハパーティー
前日3ヒートを消化しきれなかったGroupBのレースをまずは行ったが、この日も天候は悪く、朝から雨風が強い状況が続いたため、全パイロット3ヒートを行った状態で予選は終了となった。
■22日:チャンピオンシップ本選
10:30am–11:30am 国別対向レースのブリーフィング
10:30am–1:30pm RULR HDトラックオープン
11:30-12:00pm 大型固定翼エキシビション
12:00pm–12:30pm スポンサードチームレース
12:30pm–3pm:クアッド 本選
3:00pm–4:30pm:国別対向レース
4:30pm–5:30pm 表彰セレモニー
前日までの運営遅延などがあったものの、チャンピオンシップ本選では司会による実況や、国別対向レースなど、全体としてレース運営は非常に盛り上がった。
新しく導入されたVTXベースのラップシステム
TBSのグラウンドステーションやVTXベースタイミングシステムが利用
これまでのレース運営においてタイム計測には赤外線センサーなどを用いたラップシステムが、今回初めての試みとして、VTX(ドローンからの映像伝送装置)を用いたラップシステムが採用された。パイロットが個別にラップ計測装置を機体に取付けることが不要になるため、負担が少なく効率的な計測が行える。今後、このような計測器や運営補助ツールを作成するメーカーなどが増え、ますますレース周辺も盛り上がってくることが予想される。
ドローンレースの可能性
国別対向レースの盛り上がり
今回のハワイ世界大会は、今年2月に行われたドバイの世界大会と同じく世界各国からパイロットが多数参加した大規模レースとなったが、その翌週には中国でもドローンレースが開催されるなどグローバルな世界大会が頻繁に開催されはじめていて、この一年のドローンレースの開催件数はどんどん増加傾向にある。日本国内でも月に2,3回のペースで開催が進み、パイロット人口が増え、レベルがあがり、世界大会も開かれる日も遠くないはずだ。
ドローンパイロット人口の増加、レースの定期開催、周辺補助ツールの充実、操縦技術の向上、この1年で急速に整いつつある「ドローンレース」。次の1年で運営フローが充実し、スポーツとしてフェアなレースが開催され続ければ、エンターテイメントとして一大スポーツになることは間違いないと確信したハワイドローントリップでした。Mahalo!